第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-1] ポスター2(2P-01ー2P-37)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場1

[2P-14] 放射光X線溶液散乱測定における連続濃度変調型μ流路自動サンプリングシステムの性能評価

米澤 健人1, 林 有吾2, 吉田 桂人2, 天野 真治2, 岡部 龍二2, 清水 伸隆1, 上久保 裕生1,2 (1.高エネ機構・物構研, 2.奈良先端大・物質)

近年、複雑に絡み合う蛋白質の分子間相互作用と複合体の溶液構造を同時に解析する有力な手法の一つとして、X線溶液散乱と滴定実験を組み合わせた連続滴定X線溶液散乱測定が開発された。高精度な濃度変調と多点測定による正確な滴定実験を実現するために、我々はμ流路自動サンプリングシステムの開発を行い、現在では放射光実験施設(Photon Factory)への導入を進めている。しかしながら、本システムを放射光ビームラインで使用し、限られたビームタイム内で適切な実験結果を得るためには、試料の量や測定時間、流速などのパラメータを調整し、測定条件を最適化する必要がある。そこで本研究では、放射光実験における連続滴定X線溶液散乱の測定条件を最適化するために、試料の溶液量を150μLに固定した上で、濃度を連続的に変調する時間(15~200min)と流速(1~3μL/min)のそれぞれを変えた時の変化について解析した。それぞれの解析結果を元にパラメータを最適化することで、1測定時間を3時間以下に抑えることに成功した。また、流速を変えたそれぞれの条件下においてオボアルブミンのX線溶液散乱の連続濃度変調データを測定・解析することで、それぞれの条件下における形状因子と構造因子を抽出した。興味深いことに各流速の条件において、形状因子は変化しなかったが、構造因子は流速に依存して異なる散乱曲線を示した。本発表では、BL-10Cでのμ流路自動サンプリングシステムの仕様を紹介した上で、流速に依存した構造因子の変化について議論する。