第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-2] ポスター2(2P-38ー2P-88)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[2P-38] 真核細胞内におけるαシヌクレインと脂肪酸結合タンパク質FABP3の相互作用に関する研究

宮部 萌1, 山本 英絵1, 福井 直也1, 本郷 邦広1,2, 溝端 知宏1,2, 福永 浩司3, 河田 康志1,2 (1.鳥大院・工・化学生物応用, 2.鳥大院・医・機能再生, 3.東北大院・薬・薬理学)

αシヌクレイン(αSyn)は細胞内で凝集体を形成することでパーキンソン病を発症する原因蛋白質の一つである。我々はこれまでに,Thioflavin-T蛍光色素を用いたin vitroにおけるαSynのアミロイド線維形成に対して,脂肪酸結合蛋白質,FABP3がαSynの線維形成を抑制することを明らかにした。また,ANS蛍光測定と水晶振動子マイクロバランス法(QCM)を用いた実験により,αSynはFABP3と1:1の複合体を形成し,その相互作用にαSynのC末端が大きく関与していることを明らかにした。しかし,FABP3の細胞内におけるαSynとの相互作用や,αSynの凝集形成に対する影響など,その詳細については未解明な点が多い。そこで本研究では,細胞内でのαSynとFABP3の発現および挙動を可視化するシステムを構築し,生細胞内におけるαSynとFABP3の相互作用を解明することにした。マウス神経芽細胞腫, Neuro2a細胞へGFP-αSynとFABP3-mCherry発現遺伝子を導入し,αSynとFABP3の発現とそれらの相互作用を融合しているGFPとmCherryの蛍光で可視化できるシステムを構築した。そしてこのシステムを用いたGFPとmCherry間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)解析により,細胞内においてもαSynとFABP3は相互作用をしていることを明らかにした。また,αSynのC末端欠損遺伝子の導入やαSynのC末端に相当するペプチドを添加したところ,細胞内においてもαSynのC末端領域がFABP3との相互作用に働いていることが判明した。