第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-2] ポスター2(2P-38ー2P-88)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[2P-48*] Methanoculleus属古細菌由来新奇シゾロドプシンの熱安定性評価

川崎 佑真1, 今野 雅恵1,2, 井上 圭一1 (1.東大・物性研, 2.JST・さきがけ)

シゾロドプシン(SzR)はアスガルド古細菌から最初に発見された光駆動型内向きH+ポンプロドプシンである。SzRは古細菌以外の海洋微生物などにも存在するが、遺伝子配列が分かっている93種のSzRのうち分子特性が明らかにされたのはわずか5種類である。本研究では、新たに発見されたMethanoculleus属古細菌由来のSzRに注目した。 MsSzR は温泉水に棲息する好熱性古細菌から、MtSzRは中温性古細菌から発見されたSzRであり、その生育環境から高い熱安定性を持つことが期待される。そこで、高温での変性速度の温度依存性を測定することで、MsSzR及びMtSzRの熱安定性を分子特性がよく調べられているSzR1と比較した。その結果、SzR1に比べてMsSzRとMtSzRはより高温で安定性を示し、MsSzRの方がMtSzRよりも熱安定性が高かった。熱変性速度のアレニウスプロットから求められた頻度因子と活性化エネルギーの比較によりMsSzRとMtSzRが異なったメカニズムで熱安定性を実現していることが示唆された。さらに、MsSzRとMtSzRはこれまで報告されたロドプシンの中で最も高い熱安定を示した光駆動型外向きH+ポンプRxRと同程度の熱安定性であった。これは、高い熱安定性を持つ内向きH+ポンプ型ロドプシンとしての最初の報告であり、本発表ではポンプ活性測定、過渡吸収測定、pH滴定、HPLC分析の結果をもとにその分子特性に関しても議論する。