[2P-51*] Mechanism of ArsR-LuxR fusion protein hyper-structure formation by binding of Cys and As(III)
我々は、As(III)結合因子ArsRと、亢進型転写因子LuxR を融合することで、ヒ素の存在をLuxR の活性で読み出す、高感度な大腸菌発現型ヒ素センサー(ArsR-LuxR)を開発してきた。その過程で、ArsR-LuxR はヒ素添加に伴い活性が下がる、OFF スイッチ挙動を示した。そこで本研究では、この挙動の原因が、ヒ素による分子間凝集によるものであると予想し、原理の解明を目指した。ArsR-LuxRには、ヒ素と結合するCysが14個も存在する。これらのCys とヒ素が架橋点となり、分子間凝集を形成していると予想した。架橋点候補のCys を、構造は似ているがヒ素と結合しないSerに置換した変異体を作成し、凝集架橋点の特定を行った。ArsR-LuxRの91 または313 番目のSer 置換変異体で、凝集架橋点が無くなったことを示す、OFFスイッチ挙動が解消される結果を得られた。このことから、ArsR-LuxR の凝集架橋点として、上述した2 カ所のCys の関与が示唆された。また、western blotting によって細胞内分子状態を見たところ、機能がOFF となるヒ素濃度でArsR-LuxRのモノマー分子量を示すバンドが、どの画分にも検出されなかった。このことからArsR-LuxR は、ヒ素添加に伴い巨大な凝集を形成していることが示唆された。以上のことから、ArsR-LuxR のOFF スイッチ挙動は、91 および313 番目のCys とヒ素の共有結合を介した、分子間凝集によるものと考えられる。