第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-2] ポスター2(2P-38ー2P-88)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[2P-56*] K48結合型環状ユビキチン鎖の細胞内における機能解析

空田 知樹1, 森本 大智1, ヴァリンダ エリック2, 菅瀬 謙治1 (1.京大・工・分子工, 2.京大・医・細機)

ユビキチンの多重合体からなるユビキチン鎖は、タンパク質分解やシグナル伝達など広範な細胞内機能を制御することが知られている。細胞内においてユビキチン鎖はユビキチンユニットの8種類の結合様式と、直鎖構造・分岐構造・環状構造の3種類の構造形態を組み合わせた多種多様な重合体として存在し、それらが独自の機能を発揮する。ユビキチン鎖の中でもK48結合型環状ユビキチン鎖は環状構造として細胞内に存在する唯一のユビキチン鎖であるが、その機能は未だに解明されていない。K48結合型環状ユビキチン鎖は、ユビキチン結合タンパク質との相互作用に用いられるI44を中心とする疎水性界面を内側に向けた構造的に閉じた高次構造を取っており、環化は他のタンパク質による認識を阻害する効果が指摘されている。一方、特定のユビキチン結合タンパク質に対しては非環状体と同程度の強さの相互作用を示すことや、細胞内に存在するK48結合型ダイユビキチンの30%ほどが環状構造として存在することも報告されており、構造的特徴から考えても未解明の細胞内現象に関与する可能性が高い。本研究では、ユビキチン鎖の細胞内機能に関わる物性や構造特性の解析および相互作用タンパク質の同定を通じて、細胞内機能の解明を目指す。本発表では、K48結合型ユビキチン鎖を選択的に切断する酵素(OTUB1)に対する切断速度や相互作用の解析から、環化による分子認識および相互作用メカニズムの差異について議論する。