第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[2P-2] ポスター2(2P-38ー2P-88)

2021年6月17日(木) 14:45 〜 16:45 ポスター会場2

[2P-57*] 人工デザインタンパク質の細胞内でのフォールディング解析

高橋 萌1, 三輪 つくみ2, 田口 英樹1,2 (1.東工大・生命理工, 2.東工大・研究院・細胞センター)

近年のブレイクスルーを経て,合理的にデザインされたタンパク質の設計が可能となりつつある。これらの人工デザインタンパク質の多くは熱力学的に超安定である一方で,大腸菌などの細胞内で発現しなかったり,凝集になりやすかったりする例も多くある。これは設計段階で翻訳やフォールディングが考慮されていないことに起因する可能性がある。そこで本研究では,今まで見過ごされてきた人工デザインタンパク質の細胞内でのフォールディングについて調べることとした。その第一段階として,Bakerらが設計したTIMバレルフォールドを持つ人工デザインタンパク質(人工TIM)19種類の大腸菌内での可溶性を評価した。大腸菌野生株で発現させた結果,人工TIM間で細胞内での蓄積量に大きな差があり,一部では凝集傾向があることが分かった。蓄積量に差があったのは,細胞内の因子の影響と考え,シャペロンの欠損株で実験を行ったところ,DnaKの欠損株で多くの人工TIMの蓄積量減少が見られた。これらの人工TIMはDnaKがフォールディングを助けているが,DnaKがないとプロテアーゼで分解されると考えられる。また,一部の人工TIMではGroELの枯渇に応じて蓄積量が増加した。これについて各種プロテアーゼ欠損株を調べたところ,Lonプロテアーゼ欠損株において人工TIMの蓄積量増加が見られた。これらの結果から,同じフォールドをもつデザインタンパク質でも細胞内でのフォールディング状態は個々に異なっているらしい。