[2P-80*] Inhibition of Prostate Cancer Suppressor NKX3.1 Degradation by Antibodies
多くの疾患には特定タンパク質の分解異常が関与している。がんではがん抑制因子の過剰分解が高頻度で発生し、その分解阻害はがんの治療につながる。しかし、現状がん抑制因子のみにターゲットを絞った分解阻害剤は存在せず、その開発が望まれている。細胞内特定タンパク質の分解は主にプロテアソームが担っている。プロテアソームによりタンパク質が分解されるためには、タンパク質にポリユビキチン鎖が付加されていることと、明確な構造をとらない非構造領域(Unstructured領域)を持つことが必要である。我々はプロテアソームによる分解に必要な標的タンパク質のUnstructured領域への分子の結合により、標的タンパク質の分解を阻害できことを示した(Takahashi et al., ACS Chem. Biol. 2015)。そこで本研究では、前立腺がんにおいて分解が亢進する前立腺がん抑制因子NKX3.1の分解抑制を目指し、NKX3.1の分解誘導性Unstructured領域であるC末端21アミノ酸残基(C21)に結合する抗体を開発した。開発した抗体のC21に対するアフィニティの測定とNKX3.1分解阻害効果の評価を行ったのでここで報告する。