第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-03] 赤色光照射による植物光受容蛋白質フィトクロムAの構造変化

大出 真央1,2, 中迫 雅由1,2 (1.慶應・理工・物理, 2.理化学研究所・RSC)

フィトクロムA(phyA)は、発芽などの光形態形成を制御する植物光受容蛋白質であり、約1100アミノ酸残基で構成される。N末端側光受容モジュール(PSM)は、PAS、GAF、PHYの機能ドメインで構成され、発色団フィトクロモビリンはGAFに共有結合している。C末端側信号発信モジュール(OPM)は二つのPASとリン酸化酵素ドメインで構成され、PSMの光受容に応答した核移行などを司る。phyAは不活性な赤色光受容型(Pr型)か、生理活性のある赤外光受容型(Pfr型)にあり、二状態間を光可逆的に変換するが、それに伴う構造変化は不明である。 本研究では、phyAのPr型とPfr型のX線小角散乱プロファイルに、各々500回以上の非経験的分子形状推定を行い、得られた形状に多変量解析形状分類法を適用し、X線小角散乱と電子顕微鏡観察で確定したphyB形状に類似のものを選択した。phyAが二量体であることを確認し、Pr型の『四つ葉』形状とPfr型の『蝶』形状を得、赤色光吸収が分子全体に及ぶ構造変化を誘起することが明らかにした。各型について、サブユニット境界を定めて、phyB PSM結晶構造モデルを当てはめたところ、光受容構造変化は、PSMに対するOPMの変位であると理解できた。さらに、phyB PSM構造モデルの基準振動解析から、PAS-GAFに対するPHYの運動がOPMの変位を誘起する可能性が示唆された。