[3P-07] Structural analysis of 87-4F antibody that recognizes TEV protease cleavage sequence
エピトープタグシステムは、ペプチド認識抗体の高い親和性と特異性を利用して、目的タンパク質を標識する技術である。過去に当研究室で開発されたペプチドタグの一つである「PAWタグ」に結合する新規マウス抗体87-4Fを取得した。この87-4Fは、新しいタグ認識抗体としての利用が期待されるが、PAWタグのどの領域を認識するのか不明で、その利用価値は未知数であった。我々は、87-4Fが認識する領域を明らかにすべく、PAWタグの変異体を作製し、87-4Fとの結合実験を行った。その結果、87-4Fの認識にはPAWタグの26番目のTyr, 27番目のPhe, 30番目のLysが重要であることが明らかになった。この結果は、87-4FがTEVプロテアーゼの認識配列部分を中心に結合することを示唆するものであった。さらに主鎖も含めた87-4Fの認識領域を解明するため、X線結晶構造解析により、87-4FのFabとPAWタグペプチドの複合体構造の決定を試みた。その結果、1.9Å分解能でペプチド-Fab複合体の構造が決定でき、87-4Fが、PAWタグの24番目のAsnから30番目のLysまでの7残基の、比較的短い領域を認識していることが分かった。この領域中で、Lys30以外はすべて一般的に用いられているTEVプロテアーゼ認識配列に含まれていることから、TEVプロテアーゼ認識配列のC末端にLysを付加するだけで87-4Fに対する結合性を賦与できることが示唆された。