第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-14] 家族性筋萎縮性側索硬化症ALSの原因遺伝子産物VAP-BのNMR構造解析

戸川 航1, 古板 恭子2, 小林 直宏3, 藤原 敏道2, 児嶋 長次郎1,2 (1.横浜国立大学大学院理工学府, 2.大阪大学蛋白質研究所, 3.理化学研究所放射光科学研究センター)

主に小胞体に局在する膜貫通蛋白質であるVAMP-Associated Protein(VAP)は、オルガネラ膜あるいは細胞膜が互いに近接した領域において、様々な蛋白質と相互作用することで細胞内の機能に関与している。ここでVAPのN末端側にあるMajor Sperm Protein(MSP)ドメインが主な相互作用領域である。哺乳類ではVAP-A及びVAP-Bの二種類が存在するが、VAP-B MSPドメインのT46I及びP56S変異は家族性筋萎縮性側索硬化症 (FALS)と関連があると考えられている。従って、VAP-B MSPドメインの構造やダイナミクスを把握することはALS発症メカニズムの解明や治療法の開発における基盤的知識として重要である。本研究では溶液NMRを用いたVAP-B MSPドメインの立体構造解析を行った。化学シフトの帰属にはソフトウェアSparky、MagRO-NMRView、及びCYANA (FLYAモジュール)を、構造計算にはCYANAを用いた。その結果、1つのαヘリックスと8つのβストランドからなる構造が得られた。既に発表されている結晶構造と比較したところ、両者の構造はおおむね一致していた。さらにVAP-A: OxySterol Binding Protein (OSBP) 複合体構造と比較したところ、ALSに関わるT46が相互作用領域に位置することがわかった。発表では、VAP-BとOSBPとの溶液NMRによる相互作用解析の結果についても報告する予定である。