第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-1] ポスター3(3P-01ー3P-47)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場1

[3P-18] イネ花成ホルモン蛋白質の液-液相分離

榎本 麻由1, 安澤 すあい1, 小泉 優香1, 田岡 健一郎2, 児玉 高志3, 白木 賢太郎4, 藤原 敏道3, 辻 寛之2, 児嶋 長次郎1,3 (1.横浜国大学大学院理工学府, 2.横浜市立大学木原生物学研究所, 3.大阪大学蛋白質研究所, 4.筑波大学数理物質系)

植物は最適な日長を感知して、フロリゲンと呼ばれる花成ホルモン蛋白質を葉で合成する。合成されたフロリゲンは茎頂分裂組織に運ばれて花成を誘導する。我々はイネのフロリゲンHd3aがフロリゲン受容体および転写因子とフロリゲン活性化複合体を形成して花成を誘導することを明らかにしてきた。最近、辻らは超解像顕微鏡でHd3aが核内で凝集体を形成することを観察しているが、その分子機構や生理的意義は不明である。近年、蛋白質やRNAが液-液相分離(LLPS)による凝集体を形成して生理機能を発現していることが分かってきた。そこで、本研究では、フロリゲンHd3aおよびフロリゲン活性化複合体がLLPSによって核内凝集体を形成し、花成を制御しているのではないかと考え、Hd3aを含む花成関連蛋白質群の試験管内での物性を評価することで、この仮説の検証を進めることとした。実験では、試験管内で細胞内の分子混雑状態を再現するためポリエチレングリコールを用い、可視領域での散乱によってLLPSを評価する系を確立した。Hd3aを含むほぼ全ての花成関連蛋白質でLLPSの促進が観測されたが、花成を促進できないHd3a変異体では観測されなかった。発表では、花成関連蛋白質単体でのLLPSだけでなく、蛋白質複合体のLLPSについても報告したい。