[3P-22] Structural analysis of mammalian Na+/Ca2+ exchanger NCX
Na+/Ca2+交換輸送体NCXは、細胞内カルシウム濃度に応じてCa2+を膜の両方向に輸送し、細胞内Ca2+恒常性の保持、神経伝達や筋収縮、ホルモン分泌などの生体機能に関わっている。哺乳類由来NCXは、原核生物由来NCXとは異なり、細胞内にカルシウムを感知するカルシウム結合ドメイン(CBD)があり、細胞内カルシウム濃度に依存的なCBDの構造変化によって、細胞膜でのカルシウム輸送が制御されていると考えられている。しかし、CBDの構造変化がどのように細胞膜でのカルシウム輸送へと変換されるのか、その機構は不明である。その理由として、NCXタンパク質を安定して発現、精製することが困難であったことが挙げられる。そこで複数の生物種由来のcDNAからNCXアイソフォーム遺伝子のクローニングを行い、比較的安定なNCXの精製条件の検討をおこなった。小スケールでの安定したNCXの精製条件から哺乳類細胞を用いた大量精製系を構築し、精製した試料からクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析を行い、二次元平均像を得ることに成功した。今後は精製条件やグリッドの条件検討をおこなう予定である。クライオ電子顕微鏡による構造解析によってCa2+あり・なしでのNCXの構造が得られることに加え、カルシウム輸送中の中間状態のNCXの構造も得られることが期待でき、細胞内のカルシウム依存的なCBDの構造変化と膜貫通領域のカルシウム輸送の共役機構を各輸送中間状態をつないだ分子動画として明らかにできると期待している。