[3P-47] Structual changes of the glucose transporter GLUT3 explored by enhanced molecular simulations
グルコーストランスポーターは、膜を介した糖輸送を促進する膜タンパク質であり、そのGLUTファミリーには現在14のメンバー(GLUT1からGLUT14)がある。それらの中でも、GLUT3トランスポーターは基質グルコースをエネルギー源として利用するために神経細胞や肝臓・膵臓のがん細胞などで発現されることから、GLUT3の機能メカニズムの解明は医学や生理学においてとても重要である。また、その内向き(IF)構造と外向き(OF)構造の間の構造遷移は、構造生物学的にも大変興味深い課題である。そこで本研究では、拡張サンプリング法(aMDシミュレーション)を用いてGLUT3の構造変化と基質輸送の解析を行った。その結果、IF-OF構造間での順方向および逆方向への構造遷移の軌道が観察され、細胞内側および細胞外側の両ゲートの開閉において疎水性効果が重要な役割を果たすことが明らかになった。本研究で得られたこれら知見は、トランスポーターの構造機能相関に関する重要な洞察を提供するであろう。