第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-48] シャペロン介在性オートファジー機構を利用した標的蛋白質を人工的に分解する新規手法の検討

宮本 佑馬, 田村 理紗, 森 雅正, 立澤 桜子, 鳥越 秀峰 (東理大・理)

【目的】細胞に不要な自己蛋白質を分解するシャペロン介在性オートファジー(CMA: chaperone-mediated autophagy)では、Hsc70蛋白質がHsc70結合性ペプチド配列(Hsc70bm: Hsc70-binding motif)を有する蛋白質に結合し、リソソームに運んで分解する。本研究は、CMAを利用して、発現を抑制したい標的蛋白質を人工的に分解する新規手法の開発を検討した。
【結果】標的蛋白質は、マウスの染色体末端テロメアに結合するTpp1蛋白質やSARS CoV-2のNsp3蛋白質とした。標的蛋白質発現用プラスミドの培養細胞への導入時に、標的蛋白質は分解されなかったが、標的蛋白質とHsc70bmの融合蛋白質の発現用プラスミドの培養細胞への導入時に標的蛋白質は分解された。また、CMA阻害剤NH4Clやクロロキンを添加すると、標的蛋白質は分解されなくなった。これより、標的蛋白質にHsc70bm配列を付加すると、これがHsc70と複合体を形成し、リソソームに運ばれ、標的蛋白質がCMAで分解されたと考えられる。CMA関連蛋白質Hsc70, Hsp90やリソソーム膜関連蛋白質Lamp-2Aを細胞内で共発現すると、標的蛋白質の分解効率が増加した。新たな標的蛋白質をPot1とし、Pot1に特異的に結合するTpp1配列とHsc70bmの融合蛋白質(Tpp1-Hsc70bm)の発現用プラスミド、Hsc70とLAMP-2aの発現用プラスミドを培養細胞に導入すると、Pot1は分解された。Pot1とTpp1-Hsc70bmとHsc70の3者が特異的に結合して複合体を形成し、リソソームに運ばれ、LAMP-2aの強制発現でPot1が効率的に分解されたと考えられる。