第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-49] in vitro膜融合解析によるミトコンドリア膜融合機構の解明

伴 匡人1, 石原 直忠2 (1.久留米大・分生研, 2.阪大・理・生物)

ミトコンドリアは、外膜と内膜に囲まれた二重膜構造のオルガネラであり、融合と分裂により、その形態を変化させている。近年、動的なミトコンドリアの形態変化と細胞機能との関連が注目され、融合・分裂の分子機構解明が、様々な研究分野での課題となっている。ミトコンドリアの膜融合を制御する因子として,酵母から哺乳動物まで広く保存されているGTPaseが同定されている.これらのGTPaseは,900残基ほどの膜貫通領域を持つ蛋白質であることから、精製蛋白質を用いたin vitro膜融合解析がほとんど行われておらず、その分子機構の理解は進んでいない。これまでに我々はカイコ幼虫を利用したバキュロウイルス発現により、内膜融合GTPase OPA1の発現・精製及び、OPA1を挿入したリポソームによるin vitro膜融合アッセイを確立し、膜融合機構の解明を進めてきた。その過程で、OPA1は、融合する膜に存在する脂質カルジオリピンとの特異的な結合により膜同士を繋留し、GTP加水分解により融合を起こすことを明らかにした。さらに最近、バキュロウイルス発現の最適化により、これまで困難であった外膜融合GTPase Mfnの発現・精製に成功し、膜融合解析を進めている。本発表では、膜融合に於けるGTP加水分解の役割、脂質膜の寄与、その分子機構について議論を行いたい。