第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-70] 単独でシヌクレイン線維を脱会合できる分子 CtHsp104 の同定とそのメカニズムの解析

後藤 悠見1, 柴田 京華1, 塚越 かおり1, 池袋 一典1, 長谷川 成人2, 尾上 靖宏3, 小椋 光4, 奥野 貴士5, Harm Kampinga6, Steven Bergink6, Eduardo Mattos6, 養王田 正文1, 篠原 恭介1 (1.農工大・院工・生命工, 2.東京都医学総合研究所, 3.立命館大・生命科学, 4.熊本大・院生命科学研究部, 5.山形大・理, 6.フローニンゲン大)

Hsp104はAAA+タンパク質に分類される分子シャペロンの一種であり、ATP存在下で変性したタンパクを再生する活性を持つ。パーキンソン病などの神経変性疾患は異常に凝集したタンパク質線維が様々な臓器に沈着することが原因で発症するとされており、先行研究においてHsp104がその原因となるアミロイド線維の脱会合を行うことが示唆されている。しかし、脱会合の詳しい反応のメカニズムはまだ解明されていない。そこで本研究では、ヒト培養細胞および試験管内の解析を通じてHsp104がα -synuclein線維を脱会合するメカニズムを調べた。安定性の高い蛋白質を生産する好熱性真菌由来のHsp104 野生型とN末端欠損体、基質としてヒト由来のα -synucleinを用いた。まず、ヒト細胞内でのHsp104の効果を検証する実験を行った。α -synucleinを恒常的に発現するHEK293細胞にHsp104を発現させ、凝集体の生じる細胞の数と割合を共焦点顕微鏡観察により明らかにした。その結果、Hsp104WTを発現する細胞についてはコントロールに比べて凝集抑制効果が観察されたが、Hsp104 N末端欠損体を発現する細胞では凝集を抑制する効果は認められなかった。次に、Hsp104が試験管内でα -synuclein線維に対してどのように作用するのかを検証するため、高速AFMによる脱凝集反応の直接観察を行った。その結果、Hsp104WTによる線維の切断が観察された。