[3P-74] Study on accelerative amyloid-fibril assay using high-throughput ultrasonication system
アミロイド線維は多くの疾患に関連する蛋白質凝集体である。アミロイド線維の形成過程は,その核形成過程のエネルギー障壁の高さから長い時間を要する。我々の研究グループでは以前より超音波照射を用いてその形成反応を加速し,効率的なアッセイを構築することを目指してきた。本研究では,より効率的に超音波照射を活用し,アミロイド線維に関するアッセイを安定的に行うことができる装置を開発し,その性能を透析アミロイドーシスの原因蛋白質であるβ2ミクログロブリンを用いて評価した。開発した装置は,96ウェルプレートを用いたアッセイにおいて,多数の検体に対して独立して超音波を照射することができ,ウェル間の反応時間のばらつきはCV=21.8%であった。また,アミロイドーシスの早期診断の模擬実験として極微量シードの検出実験を実施し,100 fMの濃度のシードを加速的に検出することに成功した。化学反応速度論に基づく解析により,超音波照射によるシードの加速的検出機構として,初期核形成段階と形成された線維の分断反応の促進が重要であることが示唆された。これらの結果は,構築した超音波照射システムがアミロイド線維に関わる実験に有効であることのみならず,アミロイドーシスの早期診断への応用可能性を示唆するものである。