第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-77] イミノキシルラジカルを用いるチロシン選択的タンパク質生体共役反応

生長 幸之助, 丸山 勝矢, 石山 隆史, 関 陽平, 金井 求 (東大・薬)

タンパク質を標的とする生体共役反応は様々な人工機能付与を可能とし、化学・生物学の分野を横断的に発展させるための有用なツールとなる。近年の合成化学的研究に触発され、低反応性アミノ酸(Trp, Tyr, Met, His など)を標的とした生体共役反応の開発研究が、修飾均質性の向上とケミカルスペースの拡張を意図して行われている。チロシンは一次配列中に適度な含有数と表面露出度で存在する天然アミノ酸であり、様々な翻訳後修飾部位およびタンパク質間相互作用のホットスポットとしても機能することが知られている。これまでに様々なチロシン選択的生体共役反応が報告されてきたが、重金属試薬を必要としたり、生体適合性に乏しい条件や他アミノ酸残基との交差反応性なども問題となっており、実用化における課題となっている。本発表では、水溶性イミノキシルラジカルを用いた新規チロシン選択的タンパク質生体共役反応の開発を報告する。本手法では、光や還元剤などの外部刺激によって無痕跡様式にてネイティブチロシン構造を復元させることが可能である。試薬構造を調節することで、修飾体の安定性と可逆性を制御することもできる。現在、本条件を用いる生化学的・医薬学的応用に向けての検討を行っている。