第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-78] 再構成無細胞翻訳系における4塩基コドンの多重探索

渡邉 貴嘉, Dian Novitasari, 芳坂 貴弘 (北陸先端大・マテリアル)

通常の3塩基からなるコドンに1塩基付加した4塩基コドンは、複数種類の非天然アミノ酸をタンパク質へ部位特異的に導入することを可能にしている。しかしながら、細胞あるいは細胞抽出液由来無細胞翻訳系では、3塩基による天然アミノ酸への翻訳と競合するため、使用頻度の低いコドン由来の4塩基コドンのみが利用可能であった。本研究では、アミノ酸を欠如させた再構成無細胞翻訳系(PUREsystem)の使用により、3塩基による天然アミノ酸への翻訳を回避することで、利用可能な4塩基コドンの種類を大きく向上させることを試みた。また非天然アミノ酸の導入の可否を、質量分析により迅速に多重探索できる手法の構築を行った。
まず、開始コドン-Hisタグ-4塩基コドン-終止コドンからなるmRNAと、対応する4塩基アンチコドンを有するtRNAをT7 RNAポリメラーゼを用いて作製した。続いて、それぞれのtRNAに対して化学的アミノアシル化法により異なる種類の非天然アミノ酸を結合させた後に混合し、対応するmRNA混合物とともにPUREsystemに添加した。その後、翻訳産物を精製し質量分析することで、それぞれの非天然アミノ酸導入ペプチドの質量ピークの有無から、翻訳可能な4塩基コドンを特定した。
今回、4種類の4塩基コドンについて同時に探索したところ、いずれも非天然アミノ酸の導入を確認することができた。本手法により、さらに多くの種類の4塩基コドンについて迅速に評価が可能になると期待される。