第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-82] PDZドメイン-タンパク質カルボキシ末端相互作用の簡便なプレートアッセイ法の構築

高木 春樺, 冨康 羽衣子, 天野 剛志, 廣明 秀一 (名大・院・創薬科学)

PDZドメインは細胞内に多種類存在し、主にタンパク質のカルボキシ末端を認識するドメインである。PDZドメインに対する相互作用のプレートアッセイ法を構築しようとするといくつかのハードルがある。それは、PDZドメインが100アミノ酸程度の小さな球状ドメインであること、異なるアミノ酸配列もつ複数のカルボキシ末端と相互作用できること、親和性があまり強くないことから、再現性のある安定した評価をするためには、一定の配向を持たせてなおかつ自由にアクセスできる状態でPDZドメインを基剤に固定する必要がある。本研究では、熊田博士らが報告したポリスチレン(PS)結合タグ(Biotech. J. 2009)を利用した。PDZドメインをPS結合タグ、His×6タグ、SUMO-1の融合タンパク質として96ウェルプレートに固定した。そして、His×6タグ、SUMO-1およびEGFPの融合タンパク質としたカルボキシ末端ペプチドとの相互作用を評価した。大腸菌から得た両融合タンパク質を未精製のままアッセイに用いたところ、ポジティブな相互作用の組合せにおいて、ネガティブコントロールの4-7倍強い残存蛍光強度を観測した。また、同一のカルボキシ末端に対するPDZドメイン間の親和性の差について評価したところ、NMR滴定実験の結果と一致する差が得られた。さらに、同一のPDZドメインに対するカルボキシ末端変異体の影響についても評価することができた。したがって、本研究により構築したプレートアッセイ法は簡便にラボスケールで評価できることから、有用な方法である。