第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ポスターセッション

[3P-2] ポスター3(3P-48ー3P-87)

2021年6月18日(金) 15:15 〜 17:15 ポスター会場2

[3P-83] 哺乳類嗅覚受容体のコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系におけるReceptor transporting proteinの効果

佐野 聖友, 福谷 洋介, 養王田 正文 (農工大・院工・生命工)

嗅覚受容体(OR)は嗅神経細胞に発現するGタンパク質共役型受容体である。多くのORは異種細胞で発現すると、小胞体で停留し細胞膜に局在できない。ORの細胞膜輸送にはシャペロンタンパク質Receptor transporting protein 1S(RTP1S)の補助が必要であるが、RTP1SによるORの細胞膜輸送機構は分かっていない。OR、RTP1Sはどちらも膜タンパク質であり、立体構造を始め詳細な生化学解析が遅れている。本研究では、小麦胚芽無細胞系を用いたOR合成時のRTP1Sの効果の検証、ならびにOR-RTP1S相互作用解析を目的とした。RTP1S依存性が異なるマウス由来ORをコムギ胚芽無細胞タンパク質合成システムによりリポソーム膜上に発現させた。合成時のRTP1Sを共発現の有無によるORの発現量比較、免疫沈降により相互作用解析をウエスタンブロットにより行った。結果として、培養細胞ではRTP1S共発現が必要なORであってもRTP1Sを共発現しなくとも単独でリポソーム膜上に発現することを確認した。また、ORとRTP1Sを共発現させることで、RTP1Sのリポソーム膜挿入効率が増加した。免疫沈降によって、ORとRTP1Sがリポソーム膜上に共存していることを確認した。現在、無細胞合成したOR及びRTP1Sのナノディスクへの挿入や合成したORのリガンド結合活性試験などを行っており、本発表では、これらの最新の知見についても報告する。