[3P-2] ポスター3（3P-48ー3P-87）

[3P-85] 無細胞合成チャネルアレイの作製と活性評価

田中 響久¹, 中北 智哉¹, 西口 黎¹, 山川 央², ^○竹田 浩之¹ (1.愛媛大・PROS, 2.かずさDNA研究所)

チャネルタンパク質は膜電位形成やホルモン等分泌、遺伝子発現など幅広い生命現象に関与する膜タンパク質であり、内分泌疾患や高血圧、てんかんなど多様な疾患の重要な創薬標的である。しかしチャネルは2から24回の膜貫通領域を持ち、多くはオリゴマー化するなど構造が複雑で細胞発現が困難である。また、チャネルの過剰発現や異所発現は、細胞内恒常性を崩し、細胞発現の不安定さを助長する。チャネルの生産は機能解析や創薬研究の障害となっている。
我々はコムギ無細胞系にリポソームを添加し、膜タンパク質を効率的に試験管内合成する技術を開発した。無細胞系は合成されたチャネルタンパク質による翻訳阻害をほとんど受けないため、細胞では発現困難なチャネルであっても良好に合成でき、スループットも極めて高いため、チャネル生産の諸課題を解決する可能性を持つ。本研究では、チャネル研究の新しいツールとして、無細胞合成チャネルを収集したチャネルアレイの作製に取り組んだ。かずさDNA研究所が保有するcDNAクローンから219種類のヒトチャネルタンパク質遺伝子を収集し、FLAGタグを融合しコムギ無細胞発現ベクターにサブクローニングした。無細胞膜タンパク質合成技術の重層法を用いて、チャネルをプロテオリポソームとして合成した。イムノブロッティングにより209チャネル（93.6%）の合成を確認した。38種の電位依存性カリウムチャネルについて脂質平面膜法を用いた活性評価を行い、30種において何らかの電流シグナルを検出した。