[P-63] カニにとって、海水濃度の塩化ナトリウムは猛毒である
キーワード:カニ、干潟、塩分濃度
私たちは、干潟に生息するカニ類がどの程度の塩分濃度で生息できるのか調べるため、3種のカニで飼育実験を行った。その結果、どのカニも0.005% NaCl溶液中では生存可能だが、海水の塩分濃度に近い3% NaCl溶液中では2日間で全滅するという予想外の結果を得た。しかしこの3% NaCl溶液に、MgSO4、MgCl2、CaCl2、KClを一定量加えると、どのカニも生存できた。このことから、3% NaCl溶液は、それが海水とほぼ同じ濃度であるにもかかわらず猛毒であり、海水中の他のイオンはこの毒性を弱めるために必要なことが分かった。また、毒性を弱めるのに必要な塩はカニの種によって違うことも分かった。