サイエンスキャッスル2018

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[WS109] 口頭発表 O-9〜O-12

2018年12月23日(日) 15:10 〜 16:10 口頭発表会場 (マリアンホール(講堂))

[O-12] シロアリが日本を救う!?
~間伐材を資源に変える~

高谷佑生, 森本大介 (清風高等学校 生物部)

キーワード:間伐材、木質バイオマス、昆虫、シロアリ、昆虫飼料、キンギョ、養殖魚

<概要>
清風高等学校・生物部ではニッポンバラタナゴの保全活動を行っている.その一環として森林整備も行っている.その中で,間伐材は利用も廃棄も難しいという問題を知り,その利用方法を考えた.私たちが考えたのは,間伐材を用いてシロアリを養殖し,そのシロアリを価格が高騰している養殖魚の飼料として用いられてきた魚粉の代替品として使うというものである.本プロジェクトには行う必要がある実験は多々あるが,まずは①間伐材を用いたシロアリ養殖の可否 と②シロアリ配合飼料が魚体に及ぼす影響 の検証を行った.結果は,ヒノキ間伐材でのシロアリ養殖は可能であり,10%シロアリ配合飼料を与えたコワキンが最も良好な生育効果を挙げた.本プロジェクトが成功すれば,日本の林業と水産業の抱える問題の両方を解決することができ,今まで利用価値の乏しかった間伐材を「日本の資源」に変えることができる.
<考察・展望>
Ⅰ.間伐材利用について

(1)スギ材とヒノキ材の比較実験ーおが屑なし

死亡した個体を観察すると,死骸に大きな外傷はなく,カビや感染症による死亡は考えにくかった.

また,死亡した個体の多くは水滴に覆われているものが多かったことから,溺死したものと考えられる.



では,なぜスギ材でのみ多くの個体が溺死したのか?

私が考えた仮説は次のようなものである.

スギ材を採食することができず,空腹状態となる → コロニーを維持するため,ワーカーたちはエサを探しにケース内を歩きまわる → ケース内に発生した水滴に脚を取られ,溺死.



しかしながら,これはあくまで仮説である.そのため,私はおが屑を敷き,溺死を防いだうえで再度同じ条件で実験を行った.



(2)スギ材とヒノキ材の比較実験ーおが屑あり

これらの結果から,やはりスギ材をシロアリが採食できなかったと考えられる.

そして,実験下でヒノキ材を与えたケースでは産卵が確認されたため,,ヒノキ間伐材を用いたシロアリ養殖は可能であると考えられる.





Ⅱ.シロアリ配合飼料が魚体に及ぼす影響

(1)シロアリ配合飼料がコワキンに与える影響①

ゆえに,魚粉の代替品としてシロアリを用いることは可能である.



(2)シロアリ配合飼料がコワキンに与える影響②

10%配合飼料よりも20%配合飼料の方がよい生育効果を示したのは,シロアリは高脂質であるため,20%以上配合すると栄養バランスが乱れ,成長が阻害されてしまったのではないかと考えられる.



《今後の課題》

Ⅰ. 間伐材の利用

・ 間伐材を用いたシロアリの大規模飼育の実践

・ 木材からシロアリを効率よく集める

・ 生育に適切な個体数を確かめる



Ⅱ. シロアリ配合飼料が魚体に及ぼす影響

・ シロアリ配合割合のより厳密な算出

・ シロアリ配合飼料を長期間与えた際の,魚体への影響

・ コストの厳密な算出