SCIENCE CASTLE2018

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関西大会 » ポスター発表・偶数

[WS104] ポスター発表 偶数

Sun. Dec 23, 2018 11:30 AM - 12:20 PM ポスター/ブースエリア (体育館)

[P-2] 火山岩の貫入岩にみられる流理構造の形成過程の比較

友藤奈津歩, 足立大将, 西山壮人, 松井陵記, 村上由奈, 荻野幹太, 北口龍河, 小林裕和, 富田直希, 田中陽来, 伊藤大翔 (兵庫県立西脇高等学校 地学部)

Keywords:流理構造、節理、マグマ粘性、球顆、自破砕構造、結晶子

<概要>
2017年の研究で筆者らは、兵庫県南部白亜紀の闘竜灘安山岩の節理面に微細な流理構造が発達していることを発見した。流理構造は、兵庫県北部豊岡市の第四紀更新世玄武洞玄武岩や兵庫県南部小野市の白亜紀紅山流紋岩など、マグマの成分も形成された時代も異なる岩石からも普遍的に確認されることに興味を持ち、詳細な露頭調査と偏光顕微鏡による観察を行った。

紅山流紋岩と闘竜灘安山岩は、包有する同質岩片を回避して流理構造が蛇行している。球顆構造や自破砕構造をもち、流理構造に沿って生じたガラスには極めて微細な結晶(結晶子)が多くみられる。これらの特徴は、流理構造がマグマ周縁部で急速に冷却される環境で形成されたことを示している。一方、玄武洞玄武岩は、大きく結晶が成長していた斜長石がマグマの流動にのって時間をかけて移動し、あちこちに不規則に配列したと考えられる。流理構造の幅は、冷却速度を反映しているといえる。
<考察・展望>
紅山流紋岩や闘竜灘安山岩の特徴は、流理構造がマグマ周縁部で急速に冷却される環境で形成されたことを示している。玄武岩マグマは粘性が低く、すでに大きく結晶が成長していた斜長石が、マグマの流動にのって時間をかけて移動し、あちこちに不規則に配列したと考えられる。紅山流紋岩や闘竜灘安山岩との流理構造の相違は、マグマの粘性の違いによるものであると考えられる。紅山流紋岩と闘竜灘安山岩は、マグマ分化の早期に急速に冷却されたが、玄武洞玄武岩は比較的時間をかけて冷却したと考えられる。この時間の差が斜長石の斑晶を成長させたとすると、流理構造の幅は、冷却速度を反映しているといえる。同じ岩石であっても、流理構造が発達している部分と、少なくとも肉眼では確認できない部分がある。流理構造をなす部分と流理構造がみられない部分で鉱物組成に違いはみられない。

今後は本研究の考察を一般化するために、より広く試料を採取して研究を続けたい。