SCIENCE CASTLE2018

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関東大会 » ポスター発表②・奇数

[ES204] ポスター発表 奇数

Mon. Dec 24, 2018 1:00 PM - 1:30 PM ポスター/ブースエリア (7F 小体育館)

[P-119] 伝統保存食の製造工程に係る微生物の研究

岡野屋丈 (早稲田大学高等学院 1年)

Keywords:せんだんご、食品科学、発酵

<概要>
長崎県対馬市の農家では、伝統的にサツマイモを原料とした『せんだんご』と呼ばれる発酵保存食が製造されている。製造後のせんだんごは、水で戻した後、捏ねた生地を麺状に加工して茹であげ『ろくべえ麺』等として食される。せんだんごは、保存食として適しているだけでなく、原料であるサツマイモ単体では生じ得ない独特の食感を有しており、今後の保存食製造を考える上で、重要な食品の一つであると考えられる。私はこの食感がどの様に生じているのかを検証するため、「せんだんごの製造工程と関係する微生物の種類」に着目した。せんだんごの製造には、芋を腐らせる(発酵させる)工程、丸めて数ヶ月に及ぶ寒晒しの工程が含まれる。一方で、その工程は地域によって異なることがあり、様々な菌種が発酵過程にその地域の独自性を生み出しているという報告もある。しかしながら、この工程を対馬以外の地域において厳密に再現出来たという報告はなく、その詳細な工程には不明点も多い。そこで、本研究では、せんだんごが有する独特の食感や保存性を実験室内で再現し、発酵にどの様な菌類が関係し、どうやって独特の食感を出しているのかを明らかにすることを目的として研究を行っている。今回は研究の進捗状況を報告したい。
<考察・展望>
本研究により、せんだんごの製造に関わる微生物の研究がより深く進められると考えている。更に保存食の製造という観点からも、特殊な食感を生み出すことが可能なせんだんごの研究は有意義ではないかと考えている。聞き取り調査地より、せんだんごのサンプルも分与していただけたので、このサンプルから菌種を一部取り出し、実験室条件下でのサンプルと比較し、発酵条件の検討等を行う事でより正確な実験結果が得られると考えている。更にこれを他の穀物に利用するなどしてその汎用性を拡げたい。以上により、実験室内でのせんだんごをはじめとする発酵食品に関する研究を促進していきたいと考えている。