サイエンスキャッスル2018

講演情報

関西大会 » ポスター発表・奇数

[WS103] ポスター発表 奇数

2018年12月23日(日) 10:30 〜 11:20 ポスター/ブースエリア (体育館)

[P-31] 絶滅危惧種アカザの今治市における生息状況

石川裕貴 (愛媛県立今治西高等学校)

キーワード:アカザ、絶滅危惧種、西日本豪雨

<概要>
アカザは東予では蒼社川を含む数河川でその存在が確認されている。主な生息環境は川底の礫の下であり、繁殖場所は葦などの植物の根元であると考えられる。その生育には一定以上の水質と、一定以下の水温が必要であるとも考えられる。今年7月に起きた西日本豪雨による絶滅は免れたが、川底の礫が流されて砂地になっており、密度が上昇している。また、繁殖場所と思われる川岸の芦も流されており、将来的には絶滅ないしは個体数の大幅な減少が起こるのではないかと危惧している。
<考察・展望>
アカザは、頓田川では絶滅または生息数が大きく減少している可能性が高く、蒼社川では支流の鈍川に主に生息していると考えられる。生息条件については、一定以上の水質と、一定以下の水温が必要であると考えられるが、水温については季節によって変化するため一概にはそう言えない可能性が高い。また、西日本豪雨後に時間当たりの捕獲数が多くなっていたのは、川底の礫の半数近くが流され、生息場所が限定されたためと考えられる。全長が短い個体が多かったというのは、今年の春に生まれた個体が生き残っているということである。絶滅を回避できたことは喜ぶべきだが、生息場所の限定による餌不足が起こり、川岸の葦が流されたことで繁殖が困難になるということが考えられるので、蒼社川流域における将来的な絶滅または個体数の大幅な減少が起こるのではないかと危惧している。そのため、これからも蒼社川流域で継続して調査を行い、本校に持ち帰った個体を飼育・繁殖させることで、アカザの種の保全に貢献していきたい。