[P-88] 墨汁の濃度による性質の違いとにじみの研究
キーワード:墨汁、にじみ、書き心地、下敷き、マイクロファイバー、ハスの葉
<概要>
書道において墨汁の濃度や半紙によるにじみの違いが何によって決まるのかを研究した。墨汁の濃度の違いによりハスの葉上の水滴の丸まり易さを計測することで,半紙への吸着に違いがあるかどうかを予測した。墨汁は濃度が高くなるにしたがってハスの葉上での接触角が低くなると考えた(仮説1)。そこから,固体の墨をすったとき,適正な濃度になっているかどうかを,墨汁をハスの葉上に滴下することによって判断することができると考えた(仮説2)。予備実験として,ハスの葉とポリエチレンフィルム(食品包装用ラップフィルム)上の接触角を比較して,ハスの葉がなくてもこの手法で適用できるかどうかの検討も行った。その結果,フィルム上で90~91°の接触角のとき最も書きやすい墨汁濃度となることが分かった。さらに,墨汁の濃度と半紙上のにじみとの関係については,半紙に書いたときの黒い部分の大きさは墨汁の濃度に関係がないことが分かった。
書道において墨汁の濃度や半紙によるにじみの違いが何によって決まるのかを研究した。墨汁の濃度の違いによりハスの葉上の水滴の丸まり易さを計測することで,半紙への吸着に違いがあるかどうかを予測した。墨汁は濃度が高くなるにしたがってハスの葉上での接触角が低くなると考えた(仮説1)。そこから,固体の墨をすったとき,適正な濃度になっているかどうかを,墨汁をハスの葉上に滴下することによって判断することができると考えた(仮説2)。予備実験として,ハスの葉とポリエチレンフィルム(食品包装用ラップフィルム)上の接触角を比較して,ハスの葉がなくてもこの手法で適用できるかどうかの検討も行った。その結果,フィルム上で90~91°の接触角のとき最も書きやすい墨汁濃度となることが分かった。さらに,墨汁の濃度と半紙上のにじみとの関係については,半紙に書いたときの黒い部分の大きさは墨汁の濃度に関係がないことが分かった。
<考察・展望>
今回の実験で墨汁が濃いとにじまず,薄いとにじんだ。
この結果は,日頃の書道と一致した。
墨汁の濃さは,書道家の好みにもよるが例えば,複数の書道家それぞれが墨汁を用意して1つの書を書き上げるような場合,墨汁の濃さを同じにしようとするのなら,半紙に実際書いてみるのではなくポリエチレンフィルム上での接触角を同じにすることで墨汁の濃度も同じにすることが出来るようになる。
薄い墨汁はシミやすいが,下敷きの吸水性の違いによってシミ具合が違ったことから,薄い墨汁でもあまりにじませたくない場合は吸水性の高い下敷きを使えばシミをある程度抑えることが出来たり,撥水性の高い下敷きを使えばシミの大きい書にすることが出来る。
つまり,書道において文字の印象を決めるシミは半紙,墨の濃度,筆の運び方,墨に含ませる墨汁の量だけでなく下敷きの吸撥水性能も影響があることから,下敷きの吸撥水性能にも着目することでより文字のシミについてバリエーションを増やすことが出来ると考えられる。
今まで下敷きにはあまり着目せずに部活に取り組んでいたが今回の実験を通じて,書道における下敷きの大切さを認識することが出来た。
今回の実験で墨汁が濃いとにじまず,薄いとにじんだ。
この結果は,日頃の書道と一致した。
墨汁の濃さは,書道家の好みにもよるが例えば,複数の書道家それぞれが墨汁を用意して1つの書を書き上げるような場合,墨汁の濃さを同じにしようとするのなら,半紙に実際書いてみるのではなくポリエチレンフィルム上での接触角を同じにすることで墨汁の濃度も同じにすることが出来るようになる。
薄い墨汁はシミやすいが,下敷きの吸水性の違いによってシミ具合が違ったことから,薄い墨汁でもあまりにじませたくない場合は吸水性の高い下敷きを使えばシミをある程度抑えることが出来たり,撥水性の高い下敷きを使えばシミの大きい書にすることが出来る。
つまり,書道において文字の印象を決めるシミは半紙,墨の濃度,筆の運び方,墨に含ませる墨汁の量だけでなく下敷きの吸撥水性能も影響があることから,下敷きの吸撥水性能にも着目することでより文字のシミについてバリエーションを増やすことが出来ると考えられる。
今まで下敷きにはあまり着目せずに部活に取り組んでいたが今回の実験を通じて,書道における下敷きの大切さを認識することが出来た。