[P-6] アルテミア卵の表面を覆うグリセロールの役割について
Keywords:クリプトビオシス、アルテミア、ネムリユスリカ、グリセロール、浸透圧ストレス、トレハロース、凍結耐性
<概要>
無代謝休眠(別名:クリプトビオシス)は灼熱、乾燥、冷凍、真空、放射線など通常生き物が生息不可能な環境下でも生き抜く事が出来るよう生物が行う現象である。生物が極限環境を感じると、体内でLEAたんぱく質がグルコースを刺激し、ガラス化する性質を持つトレハロースに変換され、乾燥(通称:乾眠)することで過酷な環境から組織を保持している。本研究は、この摩訶不思議な現象をする生物達が乾燥した時の乾燥重量に含まれる、まだ解明されていないトレハロース以外の糖類であるグリセロールの役割について疑問を持った。そして、乾燥無代謝休眠生物で、トレハロースの他に表面にごくわずかにグリセロールが乾燥重量に含まれる、アルテミア卵に着目し、ネムリユスリカと比較して実験を行うことで研究を進めた。グリセロールには、従来の性質より、吸湿性、保水力、水溶性、光の透過性、凍結耐性など様々な性質を持っている。そして、本研究では、中でもクリプトビオシスとグリセロールの関係が深いと考えられる、凍結耐性に注目し、アルテミア卵の表面のグリセロールは凍結耐性を持たせているのではないかと仮説をたて、研究を行った。結果は、グリセロールの果たす役割は凍結耐性を持たせるものではなかった。そのため、他のグリセロールの性質がアルテミア卵の乾燥重量に含まれるグリセロールの本来の役割ではないかと考える。また、浸透圧ストレスとクリプトビオシスの関係を探ることでグリセロールやトレハロースの発生の原点から探ることでグリセロールの役割は過酷な環境化から耐久しているものではないのではないかと考察した。
無代謝休眠(別名:クリプトビオシス)は灼熱、乾燥、冷凍、真空、放射線など通常生き物が生息不可能な環境下でも生き抜く事が出来るよう生物が行う現象である。生物が極限環境を感じると、体内でLEAたんぱく質がグルコースを刺激し、ガラス化する性質を持つトレハロースに変換され、乾燥(通称:乾眠)することで過酷な環境から組織を保持している。本研究は、この摩訶不思議な現象をする生物達が乾燥した時の乾燥重量に含まれる、まだ解明されていないトレハロース以外の糖類であるグリセロールの役割について疑問を持った。そして、乾燥無代謝休眠生物で、トレハロースの他に表面にごくわずかにグリセロールが乾燥重量に含まれる、アルテミア卵に着目し、ネムリユスリカと比較して実験を行うことで研究を進めた。グリセロールには、従来の性質より、吸湿性、保水力、水溶性、光の透過性、凍結耐性など様々な性質を持っている。そして、本研究では、中でもクリプトビオシスとグリセロールの関係が深いと考えられる、凍結耐性に注目し、アルテミア卵の表面のグリセロールは凍結耐性を持たせているのではないかと仮説をたて、研究を行った。結果は、グリセロールの果たす役割は凍結耐性を持たせるものではなかった。そのため、他のグリセロールの性質がアルテミア卵の乾燥重量に含まれるグリセロールの本来の役割ではないかと考える。また、浸透圧ストレスとクリプトビオシスの関係を探ることでグリセロールやトレハロースの発生の原点から探ることでグリセロールの役割は過酷な環境化から耐久しているものではないのではないかと考察した。
<考察・展望>
上記の結果より、アルテミア耐久卵に限らず、他の乾燥無代謝休眠生物である、ネムリユスリカやクマムシも同様に、ガラス転移の理論や乾燥学からでは説明できないような特殊な作用が働くことによって、彼等は過酷な環境を耐久できているのではないかと考察する。結果をみて、孵化率がコントロール群と比較して低下していたことから5%に希釈したグリセロール、DMSO、トレハロースはアルテミア卵にとっては強すぎたのではないかと考える。また、アルテミア卵は少しの条件変化で孵化率は著しく低下することから、グリセロール、DMSO、トレハロースはアルテミア耐久卵の孵化条件に変化を及ぼしたのではないかと考察する。今後の課題として、実験Ⅰでは、-60℃、-80℃、-90℃の3種類の温度でしか比較実験をしていない為、-196℃(液体窒素)などその他の氷点下温度でも孵化率を比較したい。また、実験Ⅱでは、考察でも述べたように5%は強すぎたという可能性を考慮して、2%などもう少し希釈する溶液の%を下げたりしてもう一度孵化率を比較したい。そのため、今後の研究はグリセロールの凍結耐性以外の性質(吸湿性、保水性、光の透過性、発熱など)や、浸透圧ストレスとクリプトビオシスの関係についても探ることでグリセロールの発生についても探求し、これからもグリセロールの役割を探求する研究を進めていきたいと考えている。
上記の結果より、アルテミア耐久卵に限らず、他の乾燥無代謝休眠生物である、ネムリユスリカやクマムシも同様に、ガラス転移の理論や乾燥学からでは説明できないような特殊な作用が働くことによって、彼等は過酷な環境を耐久できているのではないかと考察する。結果をみて、孵化率がコントロール群と比較して低下していたことから5%に希釈したグリセロール、DMSO、トレハロースはアルテミア卵にとっては強すぎたのではないかと考える。また、アルテミア卵は少しの条件変化で孵化率は著しく低下することから、グリセロール、DMSO、トレハロースはアルテミア耐久卵の孵化条件に変化を及ぼしたのではないかと考察する。今後の課題として、実験Ⅰでは、-60℃、-80℃、-90℃の3種類の温度でしか比較実験をしていない為、-196℃(液体窒素)などその他の氷点下温度でも孵化率を比較したい。また、実験Ⅱでは、考察でも述べたように5%は強すぎたという可能性を考慮して、2%などもう少し希釈する溶液の%を下げたりしてもう一度孵化率を比較したい。そのため、今後の研究はグリセロールの凍結耐性以外の性質(吸湿性、保水性、光の透過性、発熱など)や、浸透圧ストレスとクリプトビオシスの関係についても探ることでグリセロールの発生についても探求し、これからもグリセロールの役割を探求する研究を進めていきたいと考えている。