サイエンスキャッスル2018

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[NS109] ポスター発表 偶数

2018年12月16日(日) 15:10 〜 15:40 ポスター発表会場2 (2F レセプションホールⅠ・Ⅱ)

[P-18] 八木山に生息するトウホクサンショウウオの生態調査

佐々木朋華, 上遠野望羽, 久保達也, 田中匡, 大和優月, 針生奈都希 (仙台城南高等学校)

キーワード:トウホクサンショウウオ、生態、保全

<概要>
仙台城南高校では毎年純絶滅危惧種のトウホクサンショウウオの卵のうが確認されている。これまでの調査で、校内の水場が個体群唯一の産卵場所であること、自然のままでは水質が悪化していくことが分かっている。今年度は、水場を拡張し定期的に水の補充を行い、産卵期から幼生期における調査を行った。調査の結果、繁殖メスが少なくとも47頭生息することが確認できた。これは、絶滅の危険を回避するために必要な数とされる100頭を大きく下回り、絶滅の危険の高い個体群であることが分かった。また、水場の拡張と水質の管理によって、上陸時期の9月までに生存している幼生の個体数は前年より増加しており、幼生の生存率改善への効果が見られた。
<考察・展望>
水場の拡張と水質の管理によって、上陸時期の9月までに生存している幼生の個体数は前年より増加しており、効果があると考えられる。一方で、産卵期の卵のう数は47対で、繁殖メスが少なくとも47頭生息することが確認できた。草野らのトウキョウサンショウウオの研究によると、「絶滅の危険を回避するためには最低でも繁殖メスの数として100頭が必要である。」とされ、「その生涯の最大の死亡要因は幼生期の捕食と共食いである。」とされている。したがって、学校周辺に生息する個体群は絶滅の危険の高い個体群であり、積極的に保護していく必要がある。個体数の密度は非常に高いことを原因とした共食いによる死亡を減少させるために、今後はビオトープ設置を検討する必要がある。