SCIENCE CASTLE2018

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関西大会 » ポスター発表・偶数

[WS104] ポスター発表 偶数

Sun. Dec 23, 2018 11:30 AM - 12:20 PM ポスター/ブースエリア (体育館)

[P-114] 汽水産巻貝2種に対する寄生生物の探索

料治輝, 丹治遥 (ルネサンス大阪高等学校)

Keywords:寄生虫、感染症

<概要>
淀川の汽水域で2種類の巻貝を採集し、感染している寄生生物を探索してきた。目下、サイズが小さく餓死しやすく食糞もする微小貝、カワザンショウガイからは寄生虫の遊泳型のセルカリア幼生が遊出することがわかった。他方、サイズが大きく絶食に耐える付着珪藻を摂食するイシマキガイからは寄生虫の遊出は確認されていない。しかし、イシマキガイの中腸腺がある殻頂部には欠損部があり、駆虫剤の候補の一つ藍藻スピルリナを与えるとフィコシアニンが溶出し、均質な細菌が大量に放出される。
<考察・展望>
汽水域では、塩分濃度が淡水から海水の間で大きく変動する。そのような特殊な環境に生息できる定着性の生物は限られる。一方、陸からも海からも物質輸送があるため生産性が高く水鳥が飛来し、魚介類を捕食する餌場とする。水鳥の糞を介して寄生生物との接点が生じやすい。中でも巻貝の中腸腺は開放型の消化器官であり、寄生生物の出入りが容易で栄養が豊富に蓄積されている部位である。恐らく寄生生物は淡水と海水が入り交ざる移行帯の中で、安定して定住できる棲み場として巻貝の体内を見い出したと捉え直すことができる。食糞しないイシマキガイからは目下、寄生虫は見つかっていないが、スピルリナのフィコシアニンを与えると大量に放出される細菌が解けない謎である。文献調査の結果、腸炎ビブリオ(食中毒原因菌)が定住している説が一部に唱えられている。今後、細菌が巻貝に寄生する事実が確認できたら、「寄生生物」という上位概念の提唱が相応しい。