プラスチック成形加工学会第32回年次大会

特別セッション

5つの特別セッションを予定しています。 (セッション名、セッションオーガナイザー、内容)
I. 注目されるデジタルものづくり
<黒瀬 隆 (山形大学), 川上 勝 (山形大学),古屋耕平(岐阜大学)>

近年,形状データから金型無しで物の造形が可能なアディティブ・マニュファクチャリング(AM)を始め,熟練者のノウハウ等をIoT(Internet of Things)技術を用いてセンシング・データ化し,それらを人工知能(AI)の活用により形式知化する試み,機械学習に代表されるAIを材料開発に活用するマテリアル・インフォマティックス(MI)などが進められるなど,ものづくりへのデジタル技術の活用,いわゆるデジタルトランスフォーメンション(DX)が注目されている.
 本セッションでは,AM, IoT, AI, MIなどのデジタル技術をものづくりへ活用するDXに関わる講演を広く募集し,次世代のものづくりについて議論する場にしたいと考えています.多数のご参加をお待ちしております.
 
II. 射出成形 さらなる進化,深化へ
<新川真人 (岐阜大学),  村田泰彦 (日本工業大学), 濱野裕輔
(ポリプラスチックス), 大石武司(ヤマハ発動機)>

プラスチック製品の代表的な成形方法である射出成形は,成形材料,金型,および成形機から構成されています.それぞれの技術要素は相互に関係しており,その結果として最終状態(製品の品質や生産性など)が決定します.最終状態の高度化を実現するには従来技術の発展,新規技術の開発が不可欠ですが,そのためには成形現象を詳細に理解することが不可欠です.
本セッションでは,射出成形を構成する技術の進化と現象の深化をキーワードとし,成形技術,型技術,CAE解析技術,可視化計測技術に関する講演を通じて,射出成形の今後の姿について議論したいと考えています.多くの方のご参加をお待ちしています.
 
III.SDGs(環境・エネルギー)と成形加工
<高崎 緑 (京都工芸繊維大学), 松尾雄一(三菱電機),八尾 滋 (福岡大学)>

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は,先進国・途上国すべての国を対象に,経済・社会・環境の3つの側面でバランスが取れた社会を目指す世界共通の目標として,2015年9月に国連で採択されました.内訳としては,2030年を達成年限とし,17のゴールと169項目のターゲットから構成されています.成形加工分野においても廃棄物の削減・発生抑制,CO2排出量の少ないエネルギー利用,海洋ごみ問題解決など,様々な研究開発がSDGsに基づき加速しています.
 本セッションでは,リユース・リサイクル,生分解性(海洋分解,環境分解),LCA,エネルギ―材料などの課題に対し,SDGsをキーワードとし,環境・エネルギー分野に貢献する成形加工技術について,深く議論する場を提供したいと考えています.多くの方々のご参加をお待ちしております.
 
IV. フィラー強化コンポジットによる材料革新
<阿多誠介(産総研),福井武久(栗本鐵工),波多野諒(名古屋市工研),今井祐介(産総研),熊谷明夫(産総研)>

炭素繊維強化複合材料は,高分子材料を航空機や自動車のボディへ適用することを可能にしました.このように,フィラー強化コンポジットは,私達が想像もしなかった優れた特性を示し,これまで考えもつかなかったような高分子材料の使い方を可能にします.一方で,フィラー強化コンポジットのもつ潜在能力を適切に引き出すためには,フィラーの分散,界面制御,配向制御など様々な課題に対して,アプローチする必要があります.
本セッションでは,ナノセルロースやカーボンナノチューブ,グラフェンなどの比較的新しいフィラーの可能性,成形加工技術の進展,複合材料の評価技術に焦点をあて,今後フィラー強化コンポジットのさらなる機能向上と用途展開に向けて,参加者間での議論を行い,最新の技術動向に対する理解を深める機会としたいと思います.
 
V. マテリアルイノベーション:ナノ構造制御材料の最前線
<小椎尾 謙 (九州大学), 斎藤 拓 (東京農工大学)>

ポリマーアロイは,単一の高分子では発現できない性質を高分子材料に付与できるため,様々な視点で精力的に開発が進められています.例えばポリマーブレンドでは,化学反応や結晶化の利用さらには成形加工法の進歩により,ナノ構造制御やそれによる物性制御が可能になっています.またブロック共重合体では,ナノ次元の相分離構造制御により様々な物性や機能が発現されています.これらナノ構造の評価に用いられている電子顕微鏡・原子間力顕微鏡による直接観察法やX線などによる散乱法も進化し続けています.
 本セッションでは,ポリマーアロイのナノ構造と物性の関係を明らかにすることを目的に,ナノ構造制御材料に関して議論します.