第23回画像センシングシンポジウム

オーガナイズドセッション

実応用から基礎まで画像センシングの新しい活用事例&技術革新を俯瞰します

OS1: ディープラーニング: 本質に迫り、今後の展開を考える 〜世界に追いつき、勝つためには〜(パネルセッション)

2017年6月7日(水) 16:30-18:00

オーガナイザー: 藤吉 弘亘氏
(中部大学)

オーガナイザー: 山下 隆義氏
(中部大学)

セッション概要:

本オーガナイズドセッションでは、ディープラーニングの基礎解析、理論拡張、応用に関して複数名のメンバを招き、現状把握、今後の展開等についてパネル討論を行う。海外の動向について紹介し、アルゴリズム面だけでなく、学習に必要なデータ、計算リソースなどのシステム面に関しても問題提起を行い、今後の「日本」としての取り組み方に対する議論を深める。

各講演のご案内

深層学習は敵か味方か?

内田 誠一氏(九州大学)

概要:

大量の文字画像を使ってCNNを学習したところ、長年の地道な研究成果が吹っ飛んでしまうような精度が出てしまった。この状況をどう見るか? 演者はこれを新たな研究展開を生む好機と見ています。例えば、100%精度の認識器があって初めてできる研究。例えば、認識率とは違う価値基準を持った研究。そして例えば、CNNがどのように高い認識率を達成しているのかを探究する研究。本講演では、このような視点に立ち、演者なりの「CNNとの付き合い方」について論じたいと思います。 

自動運転に向けたスパコンによる深層学習

佐藤 育郎氏(デンソーアイティーラボラトリ)

概要:

クルマの知能化などに必要な多くの画像センシングタスクにおいて、深層学習の利用が活発に検討されています。そこではデータセットの大規模化と、計算環境の拡充が競争力の重要な柱となっています。講演では深層学習における分散処理の基礎を研究事例とともに説明し、スケーラビリティの課題について述べます。展望として、我が国のスパコン界から届こうとしている大きな波、すなわちML/AIのニーズを反映し設計された新しいスパコンについて概説します。

深層学習に立ち向かうための複数の戦略

齋藤 真樹氏(プリファードネットワークス) 

概要:

深層学習の分野で十分なプレゼンスを発揮するためには、画像認識といった一般に諸外国が得意とされる分野に向かい合うだけでなく、製造業などの日本が強いとされている分野へ応用するアプローチも存在します。本セッションではプリファードネットワークスが現在取り組んでいる複数のプロジェクトを通して、深層学習の分野に立ち向かうための様々なアプローチについて俯瞰します。
 

OS2: ヒューマンセンシング:長期間・大規模計測 ~ 地球上の全ての人を測りたい! ~

2017年6月8日(木) 10:45-12:15

オーガナイザー: 大西 正輝氏(産業技術総合研究所)

セッション概要:

実空間における人を対象としたセンシング技術の発展によってより長期間でより大規模な計測実験が行われるようになってきています。ヒューマンセンシングの応用としては安全安心のための見守り、従業員の業務やコミュニケーションの改善、個人認証、マーケティングなど多岐にわたり、数十年後には地球上の全ての人が計測の対象になると予想されます。本オーガナイズドセッションでは大規模なヒューマンセンシングによって得られるデータを用いた研究の第一線で活躍している講師をお招きして長期間・大規模な計測によって見えるようになってきたことをご紹介頂きます。データの規模間の目安に発表タイトルには何人をどれくらいの期間計測しているのかを明示して頂いています。

各講演のご案内

超高齢社会における見守りセンシング (100人×3年)

森 武俊氏(東京大学)

概要:

少子高齢化が急速に進む日本では2055年には高齢化率が40%を超えると予想されている。自立性を大切にする高齢者が増えるなか、独居高齢者の虚弱化(フレイル)をどのように支え見守っていくかは社会的な課題である。居宅に人感焦電センサを設置し自動遠隔ナースコール的に活用するサービスシステムのデータを中心に行ってきた見守りセンシングに関し、データ収集、行動のモデリング、異変予兆の抽出について説明し、パーソナルデータとしてもビッグデータとしても価値ある健康情報の活用について考察する。

企業内の人間行動を見る・測るビジネス顕微鏡 (1500人×1ヶ月)

森脇 紀彦氏(日立製作所)

概要:

スマートフォンやウェアラブルセンサの普及により日常生活における人間行動データの取得と利活用が進みつつある。この流れは企業活動にも波及しマネジメントやワークスタイルにおける革新をもたらす可能性を秘めている。日立では名札型のセンサデバイス「ビジネス顕微鏡」を開発し、様々なホワイトカラー組織を対象に100万人日以上のヒューマンビッグデータを取得してきた。本講演ではビジネス顕微鏡のコンセプトと活用事例について説明し、さらに行動データが生み出す新たな価値の方向性について展望する。

大規模歩行映像解析による個人認証 (10万人×1分)


槇原 靖氏(大阪大学)

概要:

人の歩き方(歩容)には、年齢・性別・感情・健康状態といった実に様々な情報が含まれており、中でも、歩容の個性に基づいて個人を認証する歩容認証が注目を集めている。
本講演では、日本科学未来館にて2015年7月より約1年間実施した、歩行映像解析の体験型常設展示「アルクダケ」を紹介すると共に、並行して収集した10万人規模の体験者の歩行映像を用いた個人認証実験を通して得られた知見や今後の展望について概説する。


OS3: ロボット:ビジョンからアクションへ~理論・実用の最新事例~

2017年6月9日(金) 10:45-12:15

オーガナイザー: 堂前 幸康氏(三菱電機)

セッション概要:

機械学習・パタン認識技術の進歩は、ロボットにもイノベーションをもたらし、実現できる作業はより高度に、汎用的になってきている。トレンドである深層学習の応用例や,高度な行動計画を実現した卓球ロボット、産業用ロボットにおける最新事例から、今後の動向を探る。

各講演のご案内

ディープラーニングを用いたロボットの行動計画

尾形 哲也氏(早稲田大学)

概要:

本講演では、我々がこれまで行ってきた、深層学習による音響処理、ロボットの動作と映像の相互連想(マルチモーダル学習)、柔軟物ハンドリング学習などを実現した例を紹介します。さらに、我々が行っているリカレントニューラルネットワークによるロボットの言語と運動の統合学習モデルの概要を紹介します。最後にこれらの技術の今後の発展、展開について議論します。

卓球ロボットにおける行動計画のためのプレイヤ熟練度推定

仁科 有貴氏(オムロン)

概要:

我々は人とラリーを行うことのできる卓球ロボット「Forpheus」の開発を行ってきた。ピン球の3次元位置を高速かつ正確にセンシングする技術、センシング情報を基に行動を計画する技術、正確にロボットを制御する技術について紹介する。100人以上のラリーデータを収集し、Recurrent Neural Networkを用いて学習することで、プレイヤの熟練度に応じた返球を行いプレイヤの成長を促すことが可能になった。この行動計画のためのプレイヤ熟練度推定技術についても紹介する。

物流ロボット革命 ~超多品種対応3Dビジョンシステムとモーションプラニング~

桑原 宏之氏(MUJIN)

概要:

物流業界で産業用ロボットを用いた自動化促進の動きが高まっている。従来物流は、取り扱う商品が超多品種であること、そして商品毎に発生するロボットのティーチング作業の手間から、ロボットによる自動化には不向きとされていた。MUJINはこれらの難題に対し、多品種向け3Dビジョンシステムと完全ティーチレスなロボットコントローラを開発、物流業界に革命を起こしている。産業用ロボットを自律的に動かすための脳と目にあたる技術、そしてロボット業界の将来について考察する。