第23回画像センシングシンポジウム

特別講演

画像の認識・理解をめぐる法律問題について

6月8日(木) 15:45-17:00

講師: 小林正啓氏 (花水木法律事務所 弁護士)

1962年8月生まれ。東北大学法学部卒業。1992年弁護士登録(44期)。2000年花水木法律事務所創設。一般民事事件の傍ら,ヒューマノイドロボットの安全性の問題と,ネットワークロボットや防犯カメラ・監視カメラとプライバシー権との調整問題に取り組む。NEDOロボット性能評価委員会オブザーバー, 総務省情報通信政策研究所AIネットワーク社会推進会議「開発原則分科会」構成員, 個人情報保護委員会カメラ画像の利活用の在り方に関する検討会委員。最近の著書としては情報処理学会誌2007年1月号特集「安全と安心のための画像処理技術」中「人物を認識することの法的問題点~監視カメラシステムの設置運用基準~」。

講演概要:

 画像認識技術が成熟し、実用化が進むにつれ、様々な社会的問題や法律的問題が指摘され始めた。例えば、2014年、顔認識技術を用いた実証実験が、社会の反発を浴び中止にまで追い込まれる事態となった。本講演では、実際の「炎上」事例や、想定される法的問題点を具体的に取り上げることを通じて、研究者として留意するべき倫理的、法律的、社会的問題(ELS: Ethical, Legal, Social Issues)に対するあり方を論じる。

素材から紡ぐ視覚世界

6月9日(金) 15:45-17:00

講師: 西野 恒氏 (ドレクセル大学 教授)

1997年東京大学卒。1999年・2002年に同大より修士号・博士号を取得後、2002年より米コロンビア大学にてポスドク研究員として勤務。その後2005年より米ドレクセル大学に 勤務し、現在コンピュータサイエンス科教授、副学科長。 コンピュータビジョンの中でも物体の見えのモデル化と生成、ジオメトリ、動画解析を専門とする。2008年 NSF CAREER award 受賞。

講演概要:

物が何からできているか、その素材に関する情報は視覚情報を読む解く上で貴重な手がかりである。例えば、ロボットが目の前にぬかるみや凍った地面があることを見て取れたなら、足を取られないよう、予め動きを正しく制御することができる。素材情報の抽出をいかに行うかは、人間の視覚野の働きを解明するための根源的な問題である。本講演では、計算機に素材を識別する能力を備えるための研究を紹介する。