オーガナイズドセッション
AI時代のチームビルディング

オーガナイザー:
小塚 和紀 氏(パナソニック株式会社)
概要:最近のAI研究においては、チーム研究が効果を発揮するため、研究の内容のみならず、いかに体制を構築して人材を揃えるかというメタな視点が重要となる。本講演では、国内企業での研究機関立ち上げ事例、産官学の人材育成、アカデミアにおける大規模連携の事例を紹介することで、画像認識分野の技術者にAI分野におけるチームビルディングの最前線を紹介する。
講演

論文とビジネスの両取り:研究者が本気になると世界を変えられる!
登壇者:井尻 善久 氏(LINE株式会社)
概要:研究とビジネスは一見異なる価値観を持っていることも多く、双方がうまく連携し満足しながら高い収益を上げるということがうまく成り立っている例はそう多くない。一方、それぞれが一流を求めるなら、本質的に両者の求めるところはよく似たところに収束する場合も多い。一流のビジネスは差異化を求め研究も新規性を求める。時として時間軸がずれることもあるが双方共通点も多い。本講演では、相反するように見える両者を結びつけるような座組を作ることが大きなインパクトを生む研究やビジネスに繋がるという信念に基づいた理想の場造りのチャレンジを紹介する。

情報科学の達人の取り組み
登壇者:河原林 健一 氏(国立情報学研究所)
概要:講演者は、現在、高校生・高専生のトップ才能(情報オリンピック経験者など)が、日本のトップ研究組織で研究遂行を行うJST GSC「情報科学の達人」と、大学院生、そして若手研究者対象のACT-X「数理・情報のフロンティア」の総括を行っている。本講演では、「情報科学の達人」プログラムの取り組みを紹介するとともに、これらのプログラムを通して10年間でどのように数多くのトップ研究者を育成していくかの展望を講演する。

Ego4Dプロジェクト
~国際コンソーシアムによる大規模一人称視点映像データセットの構築~
登壇者:佐藤 洋一 氏(東京大学)
概要:Facebook AIを中心に13の大学が参加する国際コンソーシアムによりEgo4Dプロジェクトが進められている。この取り組みは、人間と同じように、一人称視点(自己視点)から環境・モノ・人を理解し、インタラクションできるAIの実現に向けて、大規模一人称視点映像データセットの構築を目指したものであり、この春、世界70か所以上で様々な場面を記録した3600時間を越える一人称視点映像がベンチマークタスクとともにリリースされた。本講演では、立ち上げ時から2年間に渡り同プロジェクトに参加した経験をもとに、同プロジェクトの概要とアカデミアにおける大規模チームビルディングでポイントとなる点などについて紹介したい。

オーガナイザー:
日浦 慎作 氏(兵庫県立大学)
概要:深層学習技術の発展により、画像から多様な情報を取り出すことができるようになりましたが、もちろん画像に何の手がかりもなければ必要な情報を得ることはできません。つまり、end-to-end 学習の守備範囲の外側にこそ問題解決と飛躍の鍵があると言えます。このセッションでは画像情報の入口であるイメージング技術と、それが取り込むべき光を作り出す物理世界に焦点を合わせ、基礎研究から実応用までにわたる最先端の取り組みをご紹介いただきます。
講演

シート状ブロードバンドイメージャーと非破壊検査分析応用
~テラヘルツ光から可視光まで~
登壇者:河野 行雄 氏(中央大学/東京工業大学/国立情報学研究所)
概要:高度な工業製品やインフラの普及に伴い、様々な環境下で製品や建造物の信頼性や安全性を確保するセンシング技術の創出が急務となっている。対象物を非破壊で画像検査するため、可視光域以外の光の活用にも高い期待が寄せられており、汎用的・簡便に使用できる計測システムが求められている。本講演では、単層カーボンナノチューブフィルムを用いた広帯域な(光の中でも新規開拓領域であるテラヘルツ帯を含む)フレキシブル全方位撮像センサとその検査応用について紹介する。センサの柔軟性や広帯域性を用いて、対象物の形状や測定環境に制限されない自由度の高い非破壊検査が可能となった。

自動運転のためのセンシングデバイスの開発状況
登壇者:高橋 昌幸 氏(ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社)
概要:自動車用ADASシステムでは、CMOSセンサーをベースにしたセンシング技術を採用しているが、次世代システムではこれに加えて深度センシングの要求が高まっている。CMOSセンサーおよび当社で進めているLIDARの最新の開発状況について説明する。

距離だけじゃない。Time-of-Flightからわかること
〜 光の遅延を利用した大域照明を含むシーンの理解 〜
登壇者:向川 康博 氏
(奈良先端科学技術大学院大学)
概要:光源から出た光が物体で反射し、センサで観測される時、物体までの距離に応じて僅かな時間差が生じます。これはTime-of-Flightと呼ばれ、主に距離計測に利用されています。しかし、表面下散乱、体積散乱、相互反射などの大域照明でも光線の経路が長くなれば遅延は発生するため、この遅延時間が貴重な情報源として利用できます。本講演では、光の遅延を利用して、材質推定や散乱光除去、反射率推定など、大域照明を含むシーンを理解する技術を紹介します。
深層学習のための効率的なデータ収集と活用

オーガナイザー:
米谷 竜 氏(オムロンサイニックエックス株式会社/慶應義塾大学)
概要:SSII2020, SSII2021で高評価を得た『限られたデータからの深層学習』に続き、深層学習におけるデータの収集方法や学習時の工夫にフォーカスする。特に、分散環境のデータの活用が可能な連合学習や、オフライン強化学習と呼ばれるオフライン環境でのサンプル収集を想定した強化学習、クラウドソーシング等に基づくヒューマンコンピュテーションの最新研究事例を紹介する。
講演

Federated Learningの基礎と応用
登壇者:西尾 理志 氏(東京工業大学)
概要:Federated Learning (FL)とは、分散して保持されたデータを収集・集約することなく機械学習モデルの訓練に用いる方法である。画像や音声、ヘルスケア情報など個人情報や機密情報の保護の観点から集約が難しいデータを機械学習へ活用できるという期待から、学術および産業の両面から注目を集めている。本講演では、FLの原理と応用例、FLの課題解決に向けた近年の取り組みについて解説する。

スケーラブルなロボット学習システムに向けて
登壇者:松嶋 達也 氏(東京大学)
概要:DNNを用いたロボット学習アルゴリズムを用いて、動画のような高次元の入力からロボットの制御方策を学習することが可能になった。これらの手法はサービスロボット領域での応用が期待されているが、タスクや環境の多様性への対処が課題となっている。本講演では、強化学習のようなロボットの制御方策を直接学習する手法において、ロボットシステムから収集し蓄積した「オフライン」のデータを活用する方法について紹介するほか、実際に家庭内のサービスロボットシステム構築の事例紹介を通じて、実世界のロボットシステムの特徴やデータドリブンな手法を取り入れて汎化性・柔軟性を高めるための方法に関して解説する。

Human-in-the-Loop 機械学習
登壇者:馬場 雪乃 氏(筑波大学)
概要:人間の知識や判断を効果的に取り入れるため、機械学習の学習過程に人間を介在させるのが、Human-in-the-Loop 機械学習である。クラウドソーシングの登場により、不特定多数の人々、すなわち群衆の参加によるHuman-in-the-Loop 機械学習の実践が容易になった。本講演では、群衆から得られる誤りを含むラベルを統合して、質の高い訓練データを作成する手法や、そのようなラベルから機械学習モデルを直接学習する手法を解説する。さらに、機械学習の様々な場面における群衆の活用方法も紹介する。