第30回画像センシングシンポジウム

招待インタラクティブ発表

招待インタラクティブ発表は、実行委員会が画像関連技術における注目の取り組みをセレクトし、インタラクティブセッションにてご発表いただく企画です。発表のコアタイムは各日のインタラクティブセッションです。各分野でご活躍の発表者と直接ディスカッションができるチャンスですので、どうぞお楽しみに!


IS1
顔画像生成における同一性と
属性の解きほぐしについて
6/12(水)14:35〜16:05

発表者:塩原 楓 氏
(東京大学)​

概要:人物の同一性(アイデンティティ)を保った顔画像生成は映像制作、アバター生成、プライバシーの保護など多様な応用先があり、盛んに研究が行われているコンピュータビジョンの分野の一つである。この研究分野では人物固有の情報である"同一性"と、その他の情報である"属性"をどのように解きほぐすかということが議論の中心にあり、多くの研究によってさまざまな手法が検討されている。本発表では人物の同一性を条件とした条件付き画像生成のうち、敵対的ネットワークを用いた顔交換によるアプローチと近年急速に発展しているテキストからの画像生成拡散モデルを用いたパーソナライゼーションによるアプローチにおける同一性と属性の解きほぐしについて、研究の紹介と動向の俯瞰を行う。

実行委員からの紹介:生成AIの発展により、高画質な顔画像生成が身近なものとなってきました。顔画像生成の応用を広げるためには、人物のアイデンティティの取り扱いが鍵となります。本発表では、顔画像生成における同一性に焦点を当て、ご本人の取り組みを中心にご紹介いただきます。ご期待ください!
 


IS2
ラベルノイズと深層学習
~ 不正確な教師信号を用いた学習について ~
6/13(木)16:00〜17:30

発表者:野村 祐一郎 氏
(静岡大学)​

概要:近年の人工知能の発展を牽引する深層学習は訓練データを大量に必要とするため、クラウドソーシングやWeb Crawlingなど、コストの安い非専門家によるデータ収集技術が利用されている。しかし非専門家によるデータ収集は不正確であり、真の教師信号とは異なるラベル(ラベルノイズ)を付与してしまう問題がある。深層学習モデルはパラメータが多いためラベルノイズに過適合しやすく、誤った学習を進めると汎化性能を低下させてしまう。ラベルノイズはデータセットを作成する際に避けられない問題であるため、深層学習モデルの性能を維持するためにラベルノイズに対して頑健な訓練手法が必要とされている。本論文ではラベルノイズの発生した事例や原因を解説し、ラベルノイズに対して頑健な訓練手法に関する最新の研究動向について紹介する。  

実行委員からの紹介:深層学習の社会実装が進む中、収集したデータの活用がますます重要となっています。データ収集の過程でラベルノイズが混入する経験をされた方も多いのではないでしょうか。本発表では、ラベルノイズに対処するための深層学習モデルの訓練方法について、最新の研究動向をご紹介いただきます。ご期待ください!
 


IS3
イベントカメラによる動き
推定とアプリケーション
6/14(金)14:25〜15:55

発表者:芝 慎太朗 氏
(ウーブン・バイ・トヨタ株式会社)​

概要:イベントカメラは、画像上の動きに非同期的に反応し、高速、高ダイナミックレンジ、低消費電力などの利点を持つ新しいカメラであるが、その非同期で疎なデータに対してアルゴリズムを再考する、イベントベースビジョン分野の研究が広がっている。最近、動きを推定するためにイベントの整列に着目する手法や理論的な基盤が提案されてきている。そこでこの論文では、イベントデータの時空間的性質に基づいて整列を推定する手法を提案し、単純な最適化だけでイベントベースのフロー推定、自己動きと深度の同時推定(単眼およびステレオ)、動きのセグメンテーション、ノイズ除去、ブラー除去、輝度復元といった様々な問題に役立つことを示す。提案手法は、最新の100万画素のカメラを含む様々な解像度、実データ/シミュレーション、異なるシーンの複雑さの7つのデータセットで頑健に精度よく推定できることを示す。また、現在のオプティカルフローのベンチマークの課題、あるべき評価やGTフローについても議論し、今後の動き推定関連タスクの研究に対して、統一的な評価と解釈を提供することを目指す。
 

実行委員からの紹介:マルチモーダルな時代において、新しいセンシングデバイスであるイベントカメラに注目が集まっています。イベントカメラの潜在能力を探求することで、新たな展望を切り開くことができます。本発表では、イベントカメラの幅広い応用に向けた統一的な解釈と、それに基づく研究事例を中心にご紹介いただきます。ご期待ください!