○切手俊弘 (滋賀県湖東健康福祉事務所 彦根保健所)
セッション情報
教育講演(多職種向け)
第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 » 教育講演(多職種向け)
[ELM4] 褥瘡を治そうと考えるな! ~人生も変えられる褥瘡ケアとは?~
2019年5月18日(土) 15:00 〜 16:30 第6会場 (B1F Room E)
座長: 中村 泰之 (米原市地域包括医療福祉センター)
【開催の目的】 褥瘡は「治らない」時代から「治る」時代に進化し、今では「予防する」時代までなった。しかしながら高齢者が増加する現況、体力の低下や加齢により、食べられない・動けない方はなかなか減少しない。そのため、いくら発生を予防しても褥瘡はゼロにはならない。一度発生した褥瘡は、仮に治療し治っても、再発する危険を伴っている。その理由は褥瘡の発生の根本的な要因を解決していないことにある。褥瘡の発生には、その生活環境に問題がある。自宅や療養環境の問題、介護力の問題、金銭的な問題など、身体以外の問題がないがしろにされている。生活環境を調整することで、褥瘡発生の予防だけでなく、生活そのものを改善することにもつながる。
褥瘡は局所の皮膚や軟部組織の変化である。褥瘡の治療は局所ケアを優先しがちであるが、栄養管理、体圧分散などの全身管理が重要である。さらに発生の要因となった生活環境を見直すだけで、褥瘡ケアの考え方は変わっていく。局所のケアももちろん大切であるが、人生まで考慮したケアをトータルで考えることが、これから必要な褥瘡ケアだと考えている。
【概要】 講演のコンテンツは以下のとおり。
① 褥瘡治療の変遷
② 褥瘡のメカニズムが解明した
③ 褥瘡はなぜ根絶しないのか
④ きれいな褥瘡・きたない褥瘡
⑤ 治りにくい褥瘡には理由がある
⑥ 褥瘡のトータルケアとは
褥瘡の治療は、褥瘡そのものを処置しなければならない。しかし、局所ケアにばかり治療が目を向けられ、全身のことは盲目になっていることも少なくない。「木をみて森をみず」ではなく、「森をみれば木はみえる」ことを理解いただきたい。特に在宅での褥瘡ケアは、トータルケアが重要である。褥瘡が発生する環境を改善することで、褥瘡が治る(予防できる)だけでなく、その方の人生も変わっていくことを事例を供覧し説明する。