セッション情報
インタレストグループ
第10回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会 » インタレストグループ
[IG15] 困難事例に対する「トラウマへの気づき」を通じたアプローチ―社会的孤立女性へのソーシャルワークを題材に
2019年5月19日(日) 11:00 〜 12:30 第7会場 (1F Room C-1)
座長: 池田 裕美枝 (京都大学大学院医学研究科健康情報学)
【開催の目的】 【背景】プライマリケアの現場において、治療へのアドヒアランスが悪く、攻撃的・反抗的、感情の起伏が激しい、あるいは極度に無関心であったりして、コミュニケーションや支援に困難をきたすような事例に出会うことがしばしばある。このような事例へのアプローチとして、「トラウマへの気づき」を通じた対応が有効であることがある。
トラウマとは、極度に脅威的な身体的・心理的被害を経験することにより受ける心的外傷であり、虐待などのように、複数回・持続的に再受傷を繰り返す場合もある。トラウマ経験はPTSDをもたらすだけでなく、発達や、長期的な健康アウトカムにも悪影響を与え、感情の統合や自己肯定感の形成、人との関係性の構築を阻害するなど広範囲の影響を及ぼすことが指摘されている。
TIC(Trauma Informed Care:トラウマへの気づきを基盤とした支援)は、米国では社会的孤立者の支援の中心的方略として位置づけられ、米国薬物乱用精神保健管理局によるガイドラインが作成されている。日本においても、学校ソーシャルワーク、児童福祉領域などで導入されている。
【目的】本企画は、本学会女性医療保健委員会の後援を得て実施する。社会的孤立女性に焦点を当て、医療機関におけるTICを取り入れたソーシャルワーク体制構築の方策を模索し提案する。
【概要】 我々は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)研究助成※を得て、医療機関における社会的孤立女性支援を実現するための調査研究を実施し、病院職員を対象とした啓蒙コンテンツを作成した。(※「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」研究開発領域「トラウマへの気づきを高める“人‐地域‐社会”によるケアシステムの構築(大岡プロジェクト、平成29年度採択)」)
本企画では、調査結果と試作したコンテンツを提示し、TICについて紹介した上で、医療機関による社会的孤立者支援のあり方について参加者とともに討議を行う。