2:30 PM - 2:45 PM
[S06-14] The seismological structure about fault zone extending to the lower crust in the northern Kinki district, southwestern Japan
GNSS観測により新潟-神戸ひずみ集中帯(NKTZ)の存在が確認されている(Sagiya et al. 2000 Pure appl. geophys)。NKTZではM7以上の内陸地震が多く発生しており、NKTZは日本列島の内陸域への歪・応力の蓄積や集中に重要な働きをしていると考えられている。そのため、NKTZの成因を明らかにすることは、内陸域への歪・応力の蓄積や集中のメカニズムを理解するために重要である。現在、Iio et al. (2002 Earth Planet Sci Lett)により、断層帯深部の流体による不均質構造の変形により直上の上部地殻でひずみ速度が大きくなるというNKTZの成因モデルが提唱されており、このモデルでは流体による不均質構造が下部地殻の断層帯深部に局所的に存在していることが必要と考えられている。
現在までの研究(Katoh et al. 2019 JpGU)で、自然地震を用いたS波反射法解析の結果から、近畿地方中北部の下部地殻には有馬高槻断層帯(ATFZ)と同じ走行をもち、ATFZの傾斜方向にのみ存在する不均質構造(reflector)が明らかになり、さらにレシーバ関数イメージングでこのreflectorが地震波低速度の薄い層である可能性があることが推定された。これより、このreflectorはATFZの下部地殻への深部延長であると結論づけ、reflectorはIio et al. (2002)によって提唱された断層帯深部の不均質構造であると考えた。しかし、レシーバ関数イメージングにおいて、reflectorの上面での地震波速度の不連続面はS波反射法解析と整合的な結果が得られたが、reflectorの下面での不連続面はやや不明瞭であった。そのため、本研究ではreflectorよりも深部の構造をより詳細に求めることを目的として解析を行なった。
解析手法はS波反射法解析とレシーバ関数イメージングである。S波反射法解析では、観測された地震波のコーダ波部分をコーダ波の減衰率(codaQ)を用いて振幅の補正を行ない、3Dスタッキングをすることでreflectorの位置を求めている。S波反射法解析においてcodaQが重要なパラメーターとなるが、先行研究では推定されたcodaQの値が精度よく求められているかの確認を行なっていなかった。そこで、本研究では推定されたcodaQの精度を相関係数から統計的に評価し、推定されたcodaQの精度が良い波形だけをS波反射法解析に用いた。次に、先行研究でのレシーバ関数イメージングでは、1Hzまでの遠地地震の波形を用いてレシーバ関数を求めていたが、本研究では1Hz以上の高周波の波形も用いることでレシーバ関数の地震波速度不連続面への感度を上げreflectorの下面を詳細に求めようとした。
上記の手法を用いて推定された下部地殻における断層帯深部の地震学的構造について発表し、近畿地方中北部の下部地殻に存在するreflectorはIio et al. (2002)によるモデルで必要とされる断層帯深部の不均質構造であるかどうかを議論する。
現在までの研究(Katoh et al. 2019 JpGU)で、自然地震を用いたS波反射法解析の結果から、近畿地方中北部の下部地殻には有馬高槻断層帯(ATFZ)と同じ走行をもち、ATFZの傾斜方向にのみ存在する不均質構造(reflector)が明らかになり、さらにレシーバ関数イメージングでこのreflectorが地震波低速度の薄い層である可能性があることが推定された。これより、このreflectorはATFZの下部地殻への深部延長であると結論づけ、reflectorはIio et al. (2002)によって提唱された断層帯深部の不均質構造であると考えた。しかし、レシーバ関数イメージングにおいて、reflectorの上面での地震波速度の不連続面はS波反射法解析と整合的な結果が得られたが、reflectorの下面での不連続面はやや不明瞭であった。そのため、本研究ではreflectorよりも深部の構造をより詳細に求めることを目的として解析を行なった。
解析手法はS波反射法解析とレシーバ関数イメージングである。S波反射法解析では、観測された地震波のコーダ波部分をコーダ波の減衰率(codaQ)を用いて振幅の補正を行ない、3Dスタッキングをすることでreflectorの位置を求めている。S波反射法解析においてcodaQが重要なパラメーターとなるが、先行研究では推定されたcodaQの値が精度よく求められているかの確認を行なっていなかった。そこで、本研究では推定されたcodaQの精度を相関係数から統計的に評価し、推定されたcodaQの精度が良い波形だけをS波反射法解析に用いた。次に、先行研究でのレシーバ関数イメージングでは、1Hzまでの遠地地震の波形を用いてレシーバ関数を求めていたが、本研究では1Hz以上の高周波の波形も用いることでレシーバ関数の地震波速度不連続面への感度を上げreflectorの下面を詳細に求めようとした。
上記の手法を用いて推定された下部地殻における断層帯深部の地震学的構造について発表し、近畿地方中北部の下部地殻に存在するreflectorはIio et al. (2002)によるモデルで必要とされる断層帯深部の不均質構造であるかどうかを議論する。