2:45 PM - 3:00 PM
[S06-15] Detailed seismic velocity structure in focal area of the 2016 Central Tottori Earthquake estimated using dense aftershock observation data
2016年10月21日に鳥取県中部においてM6.6の地震(鳥取県中部地震)が発生した。震源の深さは約10km、震源断層は北北西―南南東方向に延びる左横ずれ断層であった。本研究では、下記の稠密余震観測で得られたデータを用いて、地震波走時トモグラフィーにより本震の震源域における詳細な地震波速度構造を推定した。本研究で得られた速度構造と先行研究により推定されたすべり分布や応力場を比較することで、本震の発生過程を考察した。
鳥取県中部地震の余震域において、京都大学・九州大学・東京大学地震研究所合同観測班により稠密地震観測が行われた。地震計の設置は本震発生の翌日10月22日から11月8日にかけて行われ、3成分地震計(京大・九大担当、満点地震計)10点、3成分地震計(地震研担当、GSX)10台、1成分地震計(0.1満点地震計)49点の計69点が設置された。1成分地震計は2016年12月12日まで、3成分地震計(GSX)は2017年3月まで、3成分地震計(満点地震計)は現在まで観測が行われている。図には、それら臨時観測点と2016年10月22日から12月15日に深さ15 km以浅で発生した14,166個の地震の震源をプロットした。ただし、図にプロットした震源は、臨時観測点で得られたデータを用い、震源決定プログラムhypomh(Hirata & Matsu’ura, 1987)によって決定したものである。
地震波走時トモグラフィー解析には、臨時観測点のデータに加え、2点の定常観測点のデータも使用した。トモグラフィー解析のプログラムとして、ダブルディファレンストモグラフィーのプログラムであるtomoDD(Zhang & Thurber, 2003)を使用した。トモグラフィー解析のようなインバージョン解析では、初期値にもっともらしい値を与えることが重要である。そこで、1次元速度構造と震源位置を同時に推定するインバージョン手法であるVELEST(Kissling et al., 1994)を使用し、もっともらしい1次元速度構造、震源位置をあらかじめ推定し、それらをトモグラフィー解析の初期速度構造、初期震源位置として使用した。
強震波形のインバージョンにより、震源周辺と震源北部の2ヶ所に大きなすべりが推定されている(Kubo et al., 2017)。本研究で得られた断層面上の速度構造では、その2ヶ所の大すべり域が高速度域に、その周囲のすべりの大きくなかった領域が低速度域におおむね対応している。高速度域で地震時すべりが進展し、低速度域ですべりの進展が阻害されたことが示唆される。
謝辞:気象庁、防災科学技術研究所による定常地震観測点のデータを使用させていただきました。
鳥取県中部地震の余震域において、京都大学・九州大学・東京大学地震研究所合同観測班により稠密地震観測が行われた。地震計の設置は本震発生の翌日10月22日から11月8日にかけて行われ、3成分地震計(京大・九大担当、満点地震計)10点、3成分地震計(地震研担当、GSX)10台、1成分地震計(0.1満点地震計)49点の計69点が設置された。1成分地震計は2016年12月12日まで、3成分地震計(GSX)は2017年3月まで、3成分地震計(満点地震計)は現在まで観測が行われている。図には、それら臨時観測点と2016年10月22日から12月15日に深さ15 km以浅で発生した14,166個の地震の震源をプロットした。ただし、図にプロットした震源は、臨時観測点で得られたデータを用い、震源決定プログラムhypomh(Hirata & Matsu’ura, 1987)によって決定したものである。
地震波走時トモグラフィー解析には、臨時観測点のデータに加え、2点の定常観測点のデータも使用した。トモグラフィー解析のプログラムとして、ダブルディファレンストモグラフィーのプログラムであるtomoDD(Zhang & Thurber, 2003)を使用した。トモグラフィー解析のようなインバージョン解析では、初期値にもっともらしい値を与えることが重要である。そこで、1次元速度構造と震源位置を同時に推定するインバージョン手法であるVELEST(Kissling et al., 1994)を使用し、もっともらしい1次元速度構造、震源位置をあらかじめ推定し、それらをトモグラフィー解析の初期速度構造、初期震源位置として使用した。
強震波形のインバージョンにより、震源周辺と震源北部の2ヶ所に大きなすべりが推定されている(Kubo et al., 2017)。本研究で得られた断層面上の速度構造では、その2ヶ所の大すべり域が高速度域に、その周囲のすべりの大きくなかった領域が低速度域におおむね対応している。高速度域で地震時すべりが進展し、低速度域ですべりの進展が阻害されたことが示唆される。
謝辞:気象庁、防災科学技術研究所による定常地震観測点のデータを使用させていただきました。