Seismological Society of Japan Fall Meeting

Presentation information

Poster session (Sept. 17th)

General session » S06. Crustal Structure

S06P

Tue. Sep 17, 2019 5:00 PM - 6:30 PM ROOM P (International Conference Halls II and III)

5:00 PM - 6:30 PM

[S06P-02] Aftershock distribution and crustal structure in and around the eastern focal area of the 2015 Gorkha earthquake (Mw 7.8)

*Eiji Kurashimo1, Hiroshi Sato1, Shin’ichi Sakai1, Naoshi Hirata1, Ananta Prasad Gajurel2, Danda Pani Adhikari2, Bala Ram Upadhyaya2, Bishal Nath Upreti3 (1. Earthquake Research Institute, the University of Tokyo, 2. Tribhuvan University, 3. Nepal Academy of Science and Technology)

はじめに
2015年4月25日にネパール中央部で発生したゴルカ地震(Mw7.8)は,カトマンズをはじめとして約9000人の死者を伴う甚大な被害を発生させた.この地震はインド-オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界で発生した逆断層型の地震である.ゴルカ地震の余震が発生している領域には,本震の震央付近からヒマラヤ山脈の走向に平行な西北西-東南東方向に広がり,本震直後から余震活動が活発であった本震を含む120km×40~50kmの領域や,本震の発生から17日後の5月12日に余震域の東端で発生した最大余震(Mw7.3)の後に余震活動が活発化した,最大余震の震央を含む20×30kmの領域があることが報告されている(Adhikari et al., 2015).ヒマラヤ地震発生帯は,典型的な大陸衝突型のプレート境界であり,ゴルカ地震震源域の速度構造や震源断層の形状,詳細な余震分布を明らかにすることは,衝突帯のテクトニクスを理解する上で非常に重要である.このような知見を得る為には,震源域の直上や近傍で,観測点間隔が密な観測を実施することが有効である.余震域中央部では,2015年に稠密余震観測を実施し,取得したデータの解析によって,詳細な余震分布や震源断層の形状を得た(蔵下・他, 2016年連合大会;Kurashimo et al., 2019).しかしながら,それ以外の余震域にける速度構造や震源断層の形状に関する知見は依然乏しい.そこで,2017年に余震域の中央部から最大余震の震央を含む余震域東部にかけての地域と,余震域西部に位置する本震の震央近傍に,それぞれ臨時地震観測点を設置し,稠密余震観測を実施した.
本講演では,2017年に取得したデータのうち,余震域の中央部から最大余震の震央を含む余震域東部にかけての地域で取得したデータに地震波トモグラフィー解析を適応することで得た余震分布と地殻上部の地震波速度構造について報告する.
観測
臨時地震観測点は,西北西-東南東方向に分布しているゴルカ地震余震域の中央部から最大余震の震央を含む余震域東部にかけての地域に3-10km間隔で69か所,余震域西部の本震の震央近傍に5-10km間隔で11か所にそれぞれ設置した.収録は2017年1月16日から実施し,各観測点では,固有周波数4.5 Hz の地震計によって上下動及び水平動の3成分観測を行った.収録は,Geospace社製の独立型レコーダであるGSX-3を用い,サンプリング周波数を250Hzに設定して,約2ヶ月間の連続収録ができる仕様で実施した.
解析と結果
各観測点で取得した記録は連続記録であるため,地震毎のデータに編集する必要がある.そこで,Win システム(卜部・束田, 1992)を用いてSTA/LTAトリガー方式によるイベント検出を実施した.検出した872個のイベントに対してP波・S波の手動検測を行なうことで得た走時データとネパール定常観測点データ処理で使用されている1次元速度構造(Pandey et al., 1995)を用いてhypomh (Hirata and Matsu'ura, 1987)を使用した震源決定を実施した.得られた結果から,余震域の中央部から東部域下で震源の深さ及び水平位置の誤差が0.5km以内となった498イベントを抽出し,Double-Difference Tomography法 (Zhang and Thurber, 2003)を適応した.得られた余震分布図からは,主に5-15㎞の深さで余震が発生し,特に余震域東端で,余震活動が活発なっている特徴が確認できる.また,余震が発生している領域や近傍のVp/Vs値は,周囲に比べて小さくなる傾向があり,その特徴は,本震直後から余震活動が活発であった領域の方が,最大余震後に余震活動が活発になった領域よりも顕著に見られる.得られた結果と地震時の滑り分布(Elliott et al., 2016)と比較すると,余震発生域や近傍で確認できる低Vp/Vs領域は,本震時に滑った領域の方が最大余震時に滑った領域に比べて広範囲に分布し,それら領域の境界付近で低Vp/Vs領域の厚さが変化していることから,滑りの挙動と構造との間に関連が見られる.