Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Poster session (Sept. 17th)

General session » S07. Deep Structure and Properties of the Earth and Planets

S07P

Tue. Sep 17, 2019 5:00 PM - 6:30 PM ROOM P (International Conference Halls II and III)

5:00 PM - 6:30 PM

[S07P-02] Influence of the outer core structure on the velocity analysis in the inner core

*Toshiki Ohtaki1 (1. Geologucal Survey of Japan, AIST)

地球内部の速度構造を求める際に,対象とする領域を通る波とその近くを通る波との走時差をとることが昔からよく行われている.これは地震の震源の誤差,震源や観測点近くの構造のレファレンスモデルからのずれなどの走時への影響を除去するためであり,結果として走時の分散が小さくなることが知られている.しかし,この方法は,レファレンスとした第二の波が通る領域の速度がよく決まっていることを前提としている.では,その領域の速度の変動は,結果にどの程度の影響を与えるのだろうか?

本発表では,内核の速度構造探査を対象に,二つの波の走時差に探査対象以外の領域が与える影響について検討する.走時差として,その大きさと震央距離依存を扱う.内核とその上の外核との速度差は,その境界(Inner Core Boundary, ICB)を境に0.7 km/sほどである.この速度不連続のため,速度の速い内核を通る波の後に,より遅い外核を通ってくる後続波が同じ点で観測される.解析する波のペアは(1) 内核を通るPKIKP (DF)と外核下部までしか潜らないPKPbc (BC)およびICBでの回折波PKPc-diff (C-diff),(2) PKIKPと内核境界で反射するPKiKP (CD),(3) PKIKPと外核上部に最深点があるPKPab (AB),の三つである.速度を求める対象は内核であり,影響を検討するのは,内核半径,外核上部(E)・外核底部(F)・マントル底部(D")の速度の四つである.速度構造は水平方向に均質の場合のみを考慮する.

この三つのペアは,これまで内核速度決定に使われてきたものである.それぞれ解析する震央距離の範囲が違い,それゆえ解析できる内核の深さの範囲も違う.いま,内核より上の構造で基準とした速度が実際とずれていた場合を考える.そのずれが走時差に与える影響がペアごとに異なっていれば,ペアごとに求まる深さのつなぎ目以深に大きな影響がでるであろう.また,たとえば,外核底部の速度がPKIKPとPKPbc (+ c-diff)の走時差に与える影響は震央距離依存性をもつ.このとき外核底部の速度を別個に求めないならば,外核底部の速度のずれを内核内の深さ方向の速度変化と捉える可能性もある.

本発表では,走時差をとらない場合についても,これら構造のPKIKP走時への影響も合わせて検討する.