1:00 PM - 2:30 PM
[S08P-15] Investigation of fluid viscosity effects on laboratory hydraulic fracturing based on AE measurement and moment tensor analysis
シェールオイル・ガスなどの非在来型資源開発や地熱開発においては,岩盤の透水性を向上させ資源の流路を確保する手法として,水圧破砕が重要な役割を果たしている.破砕流体の粘度は破砕プロセスに強く影響を及ぼすことが知られており,高粘度の流体を用いると,より広い開口幅の水圧破砕き裂が造成され(Stanchits et al. 2015),破壊時の流体圧(breakdown圧)が上昇するとともに,引張破壊がより卓越する(Ishida et al. 2016)と報告されている.本研究では,紫外線照射下で発光する蛍光剤を添加した樹脂MMA(methyl methacrylate)を破砕流体として花崗岩供試体を用いた室内水圧破砕実験を行い,破砕中に生じる微小破壊(acoustic emission; 以下AE)活動のモニタリングやそのモーメントテンソル(MT)解の評価,及び流体浸入域の直接観察を行うことで,水圧破砕における破砕流体粘度の影響を検討した.
実験には,65 x 65 x 130 mmの直方体形状の黒髪島花崗岩供試体を用い,一定レートで破砕流体(樹脂MMA)を圧入し水圧破砕を行なった.実験は5 MPaの一軸圧縮載荷下で行い(図1),破砕流体の粘度は,0.8,50,300,1000 mPa・sの4パターンで,各粘度2供試体ずつ,計8供試体で水圧破砕実験を実施した.試験中に生じるAEを供試体に設置した24個のAEセンサで測定し,得られたデータから震源カタログを作成した.また,得られたAE波形のP波初動振幅値と極性を読み取り,それらを用いて各イベントのMT解を推定した.一般にAEセンサは貼り付け状態によって感度が変わるため,各実験毎に,あるAEセンサからパルス波を発振し別のAEセンサで受振するというテストを全AEセンサに対して行い,得られたP波初動振幅値を用いてカップリング係数を推定・補正した上でMT解析を行なった.破砕後,円孔に垂直な断面を作成し,紫外線照射下で流体浸入域を発光させて観察を行なった.
図2に破砕流体粘度0.8 mPa・sの実験において得られた破砕流体圧力及びAE活動の例を示す.この実験では,圧入開始から流体圧がゆっくりと上昇し,約14.1 MPaで破砕に伴う流体圧の急降下(breakdown)が発生した.AE震源の時空間分布からは,t ~400 sから破砕孔からゆっくりとAE活動域が広がったことがわかる(第1拡大フェーズ).また,breakdownの20秒ほど前からは,より高密度のAE集中域が破砕孔から広がった(第2拡大フェーズ).第2拡大フェーズの開始は,流体圧がそれまでの線形上昇傾向から乖離するタイミングに一致しており,AE発生レートもこの時刻に急増する(図2 inset).第1拡大フェーズは既存の空隙を利用して破砕流体が岩体中に浸透する過程,第2拡大フェーズは破砕孔から新規き裂が進展する過程に対応すると考えられるが,第2拡大フェーズの継続時間は破砕流体の粘度が高いほど短い傾向がみられており,破壊がより急激に進展したようである.また,流体浸入域の直接観察からは,低粘度ほど破砕流体の浸透域が広いことが確認された.MT解析結果からは(図3),全実験でせん断型に比べ引張型の方が多いという結果が得られたが,低粘度の破砕流体を用いた実験ではせん断型の割合が大きい傾向がみられた.微小既存き裂への流体の浸入が容易になることにより,せん断すべりが多く発生したことを示唆している.
実験には,65 x 65 x 130 mmの直方体形状の黒髪島花崗岩供試体を用い,一定レートで破砕流体(樹脂MMA)を圧入し水圧破砕を行なった.実験は5 MPaの一軸圧縮載荷下で行い(図1),破砕流体の粘度は,0.8,50,300,1000 mPa・sの4パターンで,各粘度2供試体ずつ,計8供試体で水圧破砕実験を実施した.試験中に生じるAEを供試体に設置した24個のAEセンサで測定し,得られたデータから震源カタログを作成した.また,得られたAE波形のP波初動振幅値と極性を読み取り,それらを用いて各イベントのMT解を推定した.一般にAEセンサは貼り付け状態によって感度が変わるため,各実験毎に,あるAEセンサからパルス波を発振し別のAEセンサで受振するというテストを全AEセンサに対して行い,得られたP波初動振幅値を用いてカップリング係数を推定・補正した上でMT解析を行なった.破砕後,円孔に垂直な断面を作成し,紫外線照射下で流体浸入域を発光させて観察を行なった.
図2に破砕流体粘度0.8 mPa・sの実験において得られた破砕流体圧力及びAE活動の例を示す.この実験では,圧入開始から流体圧がゆっくりと上昇し,約14.1 MPaで破砕に伴う流体圧の急降下(breakdown)が発生した.AE震源の時空間分布からは,t ~400 sから破砕孔からゆっくりとAE活動域が広がったことがわかる(第1拡大フェーズ).また,breakdownの20秒ほど前からは,より高密度のAE集中域が破砕孔から広がった(第2拡大フェーズ).第2拡大フェーズの開始は,流体圧がそれまでの線形上昇傾向から乖離するタイミングに一致しており,AE発生レートもこの時刻に急増する(図2 inset).第1拡大フェーズは既存の空隙を利用して破砕流体が岩体中に浸透する過程,第2拡大フェーズは破砕孔から新規き裂が進展する過程に対応すると考えられるが,第2拡大フェーズの継続時間は破砕流体の粘度が高いほど短い傾向がみられており,破壊がより急激に進展したようである.また,流体浸入域の直接観察からは,低粘度ほど破砕流体の浸透域が広いことが確認された.MT解析結果からは(図3),全実験でせん断型に比べ引張型の方が多いという結果が得られたが,低粘度の破砕流体を用いた実験ではせん断型の割合が大きい傾向がみられた.微小既存き裂への流体の浸入が容易になることにより,せん断すべりが多く発生したことを示唆している.