Seismological Society of Japan Fall Meeting

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Poster session (Sept. 18th)

Special session » S21. Long-Period Ground Motion -Generation Mechanism and Structural & Social Response-

S21P

Wed. Sep 18, 2019 1:00 PM - 2:30 PM ROOM P (International Conference Halls II and III)

1:00 PM - 2:30 PM

[S21P-12] Monitoring of large structure and observation of long period ground motion using DAS and existing optical fiber cables installed

*Tsunehisa Kimura1 (1. Schlumberger)

光ファイバーを振動センサーとして用いるDASテクノロジーは、近年、日本においても3DVSPを含むサイズミックデータを良好に記録することができるようになり1)、確立された新しい物理探査技術として地下の構造を調査するために石油・ガス、二酸化炭素貯留、地熱分野で使われている。VSPの場合、人工震源の位置を同じにして数回発震させることによりデータのスタッキングが可能で、発震数を増やすことでS/Nを向上させることができる。地震等の自然現象観測の場合、スタッキングをすることができない。光ファイバーのバックスキャッターの位相差データを用いるDASを『hDVS』と呼んでいるが、振幅の変化を主に用いる通常のDASと比べデータが欠損するFadingの影響が少なくデータのS/Nが良いことと2)、ゲージ長や空間サンプリングをパラメータとして観測の目的によって自由に変化させることができる利点があり、自然現象の観測に向いていることを地震学会やJpGUで述べてきた。長大構造物をモニタリングする場合も同じことが言える。

2018年10月に一般財団法人エンジニアリング協会(以下、ENAA)の依頼で、阪神高速道路の橋梁をhDVS Tier-3と既存の通信用光ファイバーケーブルを用いて振動モニタリングの実証実験を行った。観測を行った橋梁は1991年に供用した橋梁で、1995年の阪神・淡路大震災の際、特に大きな被害は受けなかった。それらの橋梁内には通信用の光ファイバーケーブルが張られており、約2.3kmの長さのスペアファイバーを用いて4日間の連続記録を行った。空間サンプリング1m、ゲージ長4m、時間サンプリング1msで記録した。

交通量が多い日中は振動が多く、交通量が少ない夜間は振動が少ない日周期があることが認められた。4日間の連続記録で得られた振動記録の一例を図に示す。また、橋梁によっては振動の大きい部分と小さい部分があることがわかった。それは橋梁内における光ファイバー敷設位置の違いのほか、路面状態の違いや橋梁の振動特性の違いによるものと考えられる。

長周期地震動が長大構造物に影響を及ぼすことが懸念されているが、hDVSと既存の光ファイバーを使う場合、まず、静かな環境下で長周期地震を観測することができる。それに加え懸念される長大構造物全体の振動そのものを観測できるので、地震やそれに準ずる現象により振動が起きた場合、より定量的な評価が可能である。

発表では、hDVSを使って観測されたデータのまとめを行うとともに、どのようなイベントが記録されたかの説明を行う。

引用文献:
1)M. Fujisawa et al, Acquisition and Imaging of the Kijiyama DAS-VSP + SSP Experiment Data, SEG-J 2019
2)A. Hartog et al., The Use of Multi-Frequency Acquisition to Significantly Improve the Quality of Fibre-Optic Distributed Vibration Sensing, EAGE Vienna 2016