5:00 PM - 6:30 PM
[S23P-02] Quality enhancement of the JMA Unified Earthquake Catalog
気象庁では、地震調査研究推進本部の施策に基づき、気象庁のほか大学や防災科学技術研究所等の関係機関から全国の高感度地震観測データを収集し、震源決定等の処理を一元的に行い(以下、一元化処理)、その結果を地震カタログとして気象庁ホームページやFTPサイトに公表している。公表する震源データは、地震発生からの経過時間にしたがい、当初は自動処理結果、翌日以降は自動処理結果の確認や手動検測を行った暫定データ、半年〜約1年後は最終確認を行った確定データである。ここ数年の一元化処理改善の取り組みでは、東北地方太平洋沖地震後の余震や海域観測網の整備等に伴う処理の増大に対応するため自動処理を大幅に導入し、処理能力を向上させてきた。最近では、以下に示す品質向上等に取り組んでいる。
(1)テンプレートを用いた効率的な発破識別処理の導入
2016年4月からの自動震源の採用に伴い、発破が混入しやすくなった。そのため、効率的な品質管理のためテンプレートを用いた波形相関による発破の除去を2019年4月から始めた。具体的には、テンプレートとの距離および波形相関が閾値を超えたものを発破の可能性が高いイベントとしてツールにより抽出した後、人が確認を行ったうえで削除等を行う。テンプレートは、2017年のデータを対象に、既知の発破との距離や波形の特徴から発破の可能性が高いと判断したものである。新たな発破領域のテンプレートを追加するため、2018年の自動震源のクラスタ処理を行い、採石場との対応が確認できたクラスタから波形が明瞭な発破イベントを選出した。
(2)迅速な一元化処理結果の活用・提供
大地震発生後には、活発な地震活動のために自動処理を用いても、地震活動評価やデータ提供などに時間がかかるケースがあった。しかし、これまでの自動処理結果の運用実績や、その結果の精度評価の結果、迅速性が求められる大地震直後の場面では、品質管理を簡略化した上で、自動処理結果を活用することが有効であることが分かった。2019年6月18日の山形県沖の地震(M6.7)の例では、余震活動の当初約6時間分は、自動処理でM1.7(精査検測対象Mth)未満は地震であれば自動震源をそのまま採用する簡易処理を行い、余震活動初期にはその結果を用いて活動評価やデータ提供を行った。後日、採用した自動震源のうち誤差大や余震域から外れた震源を対象に手動簡易検測を行った。また、余震活動の当初約1時間で地震多発のため自動処理では検知されなかった地震は、連続波形を確認しながらM1.7程度以上を対象に手動精査検測を行った。
(3)海域の観測データを活用した、海域の震源データの品質向上
近年、日本海溝および南海トラフの海域に整備された海底地震観測網であるS-netやDONETのデータを一元化処理へ取り込むため、海域速度構造の導入、標高を考慮した走時表、堆積層補正値の考慮、S-netの15Hz速度計データを用いたM推定、初動発震機構解析への適用について検討し(上野・他、2019、JpGU)、現在処理システムの準備を進めている。また、海底地震計の特性を考慮した検測処理の方法等の検討も行っている。海底地震計のノイズレベルを把握するため、S-net、DONET、気象庁の東海OBS・東南海OBSの2018年1年分の波形データから速度振幅RMSの時間値を調べた。水深1000m程度までは深くなるほどノイズが急に小さくなっていくが、それより深いとあまり変化しなくなる。ノイズを時間別にみると昼間がやや低く、月別にみると冬は高い。
(1)テンプレートを用いた効率的な発破識別処理の導入
2016年4月からの自動震源の採用に伴い、発破が混入しやすくなった。そのため、効率的な品質管理のためテンプレートを用いた波形相関による発破の除去を2019年4月から始めた。具体的には、テンプレートとの距離および波形相関が閾値を超えたものを発破の可能性が高いイベントとしてツールにより抽出した後、人が確認を行ったうえで削除等を行う。テンプレートは、2017年のデータを対象に、既知の発破との距離や波形の特徴から発破の可能性が高いと判断したものである。新たな発破領域のテンプレートを追加するため、2018年の自動震源のクラスタ処理を行い、採石場との対応が確認できたクラスタから波形が明瞭な発破イベントを選出した。
(2)迅速な一元化処理結果の活用・提供
大地震発生後には、活発な地震活動のために自動処理を用いても、地震活動評価やデータ提供などに時間がかかるケースがあった。しかし、これまでの自動処理結果の運用実績や、その結果の精度評価の結果、迅速性が求められる大地震直後の場面では、品質管理を簡略化した上で、自動処理結果を活用することが有効であることが分かった。2019年6月18日の山形県沖の地震(M6.7)の例では、余震活動の当初約6時間分は、自動処理でM1.7(精査検測対象Mth)未満は地震であれば自動震源をそのまま採用する簡易処理を行い、余震活動初期にはその結果を用いて活動評価やデータ提供を行った。後日、採用した自動震源のうち誤差大や余震域から外れた震源を対象に手動簡易検測を行った。また、余震活動の当初約1時間で地震多発のため自動処理では検知されなかった地震は、連続波形を確認しながらM1.7程度以上を対象に手動精査検測を行った。
(3)海域の観測データを活用した、海域の震源データの品質向上
近年、日本海溝および南海トラフの海域に整備された海底地震観測網であるS-netやDONETのデータを一元化処理へ取り込むため、海域速度構造の導入、標高を考慮した走時表、堆積層補正値の考慮、S-netの15Hz速度計データを用いたM推定、初動発震機構解析への適用について検討し(上野・他、2019、JpGU)、現在処理システムの準備を進めている。また、海底地震計の特性を考慮した検測処理の方法等の検討も行っている。海底地震計のノイズレベルを把握するため、S-net、DONET、気象庁の東海OBS・東南海OBSの2018年1年分の波形データから速度振幅RMSの時間値を調べた。水深1000m程度までは深くなるほどノイズが急に小さくなっていくが、それより深いとあまり変化しなくなる。ノイズを時間別にみると昼間がやや低く、月別にみると冬は高い。