5:00 PM - 6:30 PM
[S24P-02] Crustal structure around source area of the Earthquake offshore Yamagata Prefecture on June 18, 2019
2019年6月18日に発生した山形県沖の地震(MJ6.7)はほとんどの余震が水深100 m以浅の大陸棚に位置している(e.g., 気象庁, 2019, 地震調査委)。この海域は漁業との兼ね合いによって地殻構造探査が難しい海域であるが、日本海においては沿岸域や海陸境界域に活断層が多く分布し、それらの活断層が作用した地震と津波によって、大きな被害が繰り返されている。一方で、地震の発生メカニズムを評価するためには日本海全体においてより深部までの地殻構造の調査を推進する必要性が指摘されており(日本海における大規模地震に関する調査検討会, 2014)、それは沿岸域や海陸境界域も例外ではない。しかし、日本海における沿岸域の深部構造探査や海陸統合探査はまだ事例が多くないため(e.g., 佐藤・他, 2007, 震研彙報; Ishiyama et al. 2017, Tectonophysics)、「日本海地震・津波調査プロジェクト」では今年度山形県沖の地震の北方に位置する酒田沖において海陸統合探査が地震前から計画されていた(e.g., 篠原, 2013, 地震本部ニュース)。
本発表では、山形県沖の地震の震源域近傍で2010年に「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究プロジェクト」の一環として実施されたマルチチャンネル反射法地震(MCS)探査と海底地震計(OBS)を用いた深部構造探査(Sato et al. 2014, JGR; 野・他, 2014, JAMSTEC-R)の結果から、震源域付近の地殻構造について報告する。この調査では、山形県沖の地震の余震分布を完全に横切っている測線はないものの、その近傍まで達しているMCS探査測線が3本(EMJS1005、EMJS1006、EMJS1007)ある(野・他, 2014)。また、震源域から40 km程度南にはOBS探査測線(EMJS1003)が位置している(Sato et al. 2014)。
まず、震源近傍まで達している3本のMCS探査測線の結果(野・他, 2014)をみると、海底地形と比べて堆積層の層厚や基盤形状が複雑に変化しているが、西傾斜の逆断層を伴った構造の形成が顕著である。また、短縮した構造は、EMJS1005とEMJS1006で顕著に確認できる一方で、EMJS1007ではEMJS1005やEMJS1006と比較するとあまり顕著に発達していない。6月30日までの余震分布の北端はEMJS1006とEMJS1007の間に位置しており、余震分布とMCS探査測線間の短縮構造の違いが対応している可能性があるが、EMJS1007は堆積層の層厚が他の測線より相対的に薄いので、慎重に検討する必要がある。
震源域付近の基盤下の地殻内のイメージについては、MCS探査の結果から明瞭な反射面を確認できていない。そのため、EMJS1003のOBS探査測線で得られているP波速度構造の結果から検討する。このOBS測線は、震源域から離れており、さらに今回の震源の位置を測線に投影すると、測線の端点に位置しており、上部地殻の一部までしか解けていない(Sato et al. 2014)。ただし、結果が得られている粟島沖大陸棚西側の構造は大陸地殻的な特徴を示しており、厚さ約10 ~ 12 kmのP波速度約5.5 ~ 6.4km/sの部分と厚さ約11 kmの約6.7 ~ 7.0 km/sの部分に分けられる。堆積層を含めた地殻の厚さは約23 kmで、東北日本弧の地殻より薄いので、リフトした大陸地殻であることが推測されている(Sato et al. 2014)。7月20日までに公表されている現時点で得られている余震分布(e.g., 気象庁, 2019)と比較すると、その余震のほとんどがP波速度約5.5 ~ 6.4km/sの部分に位置している。
本発表では、山形県沖の地震の震源域近傍で2010年に「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究プロジェクト」の一環として実施されたマルチチャンネル反射法地震(MCS)探査と海底地震計(OBS)を用いた深部構造探査(Sato et al. 2014, JGR; 野・他, 2014, JAMSTEC-R)の結果から、震源域付近の地殻構造について報告する。この調査では、山形県沖の地震の余震分布を完全に横切っている測線はないものの、その近傍まで達しているMCS探査測線が3本(EMJS1005、EMJS1006、EMJS1007)ある(野・他, 2014)。また、震源域から40 km程度南にはOBS探査測線(EMJS1003)が位置している(Sato et al. 2014)。
まず、震源近傍まで達している3本のMCS探査測線の結果(野・他, 2014)をみると、海底地形と比べて堆積層の層厚や基盤形状が複雑に変化しているが、西傾斜の逆断層を伴った構造の形成が顕著である。また、短縮した構造は、EMJS1005とEMJS1006で顕著に確認できる一方で、EMJS1007ではEMJS1005やEMJS1006と比較するとあまり顕著に発達していない。6月30日までの余震分布の北端はEMJS1006とEMJS1007の間に位置しており、余震分布とMCS探査測線間の短縮構造の違いが対応している可能性があるが、EMJS1007は堆積層の層厚が他の測線より相対的に薄いので、慎重に検討する必要がある。
震源域付近の基盤下の地殻内のイメージについては、MCS探査の結果から明瞭な反射面を確認できていない。そのため、EMJS1003のOBS探査測線で得られているP波速度構造の結果から検討する。このOBS測線は、震源域から離れており、さらに今回の震源の位置を測線に投影すると、測線の端点に位置しており、上部地殻の一部までしか解けていない(Sato et al. 2014)。ただし、結果が得られている粟島沖大陸棚西側の構造は大陸地殻的な特徴を示しており、厚さ約10 ~ 12 kmのP波速度約5.5 ~ 6.4km/sの部分と厚さ約11 kmの約6.7 ~ 7.0 km/sの部分に分けられる。堆積層を含めた地殻の厚さは約23 kmで、東北日本弧の地殻より薄いので、リフトした大陸地殻であることが推測されている(Sato et al. 2014)。7月20日までに公表されている現時点で得られている余震分布(e.g., 気象庁, 2019)と比較すると、その余震のほとんどがP波速度約5.5 ~ 6.4km/sの部分に位置している。