3:30 PM - 5:00 PM
[S08P-15] Estimating Effective Normal Stress During Slow Slip Events From Slip Velocities and Shear Stress Variations
スロースリップは、地震波を出さずにプレート境界等を10日~数か月かけて数十cmゆっくりすべる現象である。スロースリップはGNSS観測以降発見され、プレート境界でのエネルギー蓄積・解放の新たな1つの過程として位置づけられている。これを調べることはプレート境界のテクトニクス等を知る上で重要である。スロースリップの原因の1つとして、プレート境界面上の流体の存在が議論されている。
すべり速度状態依存摩擦則を用いたバネ・スライダーモデルを用いた理論的解析から、速度弱化の条件で準静的なすべりが起こることが示されている(Rice and Tse, JGR, 1986)。この解析によると、剪断応力変化とすべり速度のグラフ上のスライダーの軌跡は、準静的すべりが定常状態の摩擦則のラインに沿って徐々に加速し、そして減速することを示している。定常状態の摩擦則のラインの傾きは、摩擦係数をa、 b、有効法線応力をσ'nとすると、(a – b)σ'n となる。
我々は、過去6回の房総沖スロースリップについて、GNSSデータを用いてすべりの時空間分布と剪断応力変化を求め、剪断応力変化とすべり速度のグラフを作成した。ほとんどのグラフ上の軌跡は理論的解析のものと類似していて、これは房総沖スロースリップは、上記の理論的解析の結果が適用可能であることを示している。(a – b)を-0.003とすると、軌跡の傾きから有効法線応力が深さ12.5~20.5 kmで10~50 MPaと推定された。この値はその深さの静岩圧(350~600 MPa)より著しく低く、高圧の流体の存在を示唆している。
謝辞
解析にあたり、国土地理院の日々の座標値(F3解)を使用しました。応力の計算では、米国地質調査所のCoulomb3.3を使用しました。ここに記して感謝します。
すべり速度状態依存摩擦則を用いたバネ・スライダーモデルを用いた理論的解析から、速度弱化の条件で準静的なすべりが起こることが示されている(Rice and Tse, JGR, 1986)。この解析によると、剪断応力変化とすべり速度のグラフ上のスライダーの軌跡は、準静的すべりが定常状態の摩擦則のラインに沿って徐々に加速し、そして減速することを示している。定常状態の摩擦則のラインの傾きは、摩擦係数をa、 b、有効法線応力をσ'nとすると、(a – b)σ'n となる。
我々は、過去6回の房総沖スロースリップについて、GNSSデータを用いてすべりの時空間分布と剪断応力変化を求め、剪断応力変化とすべり速度のグラフを作成した。ほとんどのグラフ上の軌跡は理論的解析のものと類似していて、これは房総沖スロースリップは、上記の理論的解析の結果が適用可能であることを示している。(a – b)を-0.003とすると、軌跡の傾きから有効法線応力が深さ12.5~20.5 kmで10~50 MPaと推定された。この値はその深さの静岩圧(350~600 MPa)より著しく低く、高圧の流体の存在を示唆している。
謝辞
解析にあたり、国土地理院の日々の座標値(F3解)を使用しました。応力の計算では、米国地質調査所のCoulomb3.3を使用しました。ここに記して感謝します。