3:30 PM - 5:00 PM
[S08P-18] Microstructure in the gouge layer developed by large-scale velocity step change experiments
近年、石油やシェールガス·オイル採掘のため、地下深くの岩盤に人工的に亀裂を入れる水圧破砕を行うことがある。その際、破砕流体を岩盤に注入するため、間隙水圧が上昇し、誘発地震が発生することがある。このような誘発地震の発生条件を特定するために、断層摩擦の性質を調べる必要がある。しかしながら、実スケールに近い岩石摩擦実験はあまり行われていない。今回、防災科学技術研究所(防災科研)にて行われた、ガウジ層を挟んだ載荷速度を段階的に変化させた大型岩石摩擦実験後のガウジ層を採取し、薄片を作成しその観察を行ったので、報告する。特に、実験によって形成されたせん断帯の形成と載荷速度変化実験によって得られた摩擦パラメータとの関係について調べた。
実験は、防災科研の大型2軸岩石摩擦試験機を用いて行われた。用いた岩石試料は、上部がL1.5 m×W0.5 m×H0.5 m、下部がL2.0 m×W0.1 m×H0.5 mの変斑レイ岩であり、これらを積み重ねた後、上方から法線応力を加え側方から剪断応力を加えることで実験を行った。接触すべり面積は0.15 m2である。実験前に岩石試料間にガウジを厚さ3 mmとなるように散布して実験を行った。ガウジは、アイシンナノテクノロジーズ株式会社のジェットミルにより、供試体と同じ変斑レイ岩試料から,平均粒径10 μm,最大粒径200 μmとなるように粉砕して生成したガウジを用いた。各実験後に使用したガウジをすべて取り除き、実験ごとに新しいガウジを散布して実験を行った。実験は、法線応力を3.3 MPaかけたLB21-003, 004と、6.5 MPaかけたLB21-007, 008の4回行った。載荷速度は0.01 mm/s, 0.1 mm/s, 1 mm/sの間で段階的に変化させることを繰り返した。各実験の総変位量は87 mmであった。実験後、上部供試体を真上に持ち上げ、下部供試体表面上にガウジ層が露出する状態にした後、ガウジ層のサンプリングを行った。まず、整髪スプレーをガウジ層に吹きつけガウジ層を仮固定し、一定時間経過後カミソリとピンセットを用いて2 cm角程度の領域を採取した。採取したガウジ層試料はエポキシ樹脂により固化させ、すべ方向の断面の薄片を作成した。LB21-003の実験から2箇所、LB21-004, 008からそれぞれ3箇所、LB21-007から4箇所の計12カ所の薄片を作成した。作成した薄片は正立工業用顕微鏡システム((株)オリンパス、BX53MTRF-S)を用いてガウジ層の微細構造の観察を行った。
薄片の観察により、法線応力の小さいLB21-003, 004の薄片に比べて法線応力の大きいLB21-007, 008では明瞭なせん断帯(Y面、R1面)が形成されており、法線応力が大きいほどガウジの細粒化が促進されせん断帯が形成されていることが確認できた。またR1面に形成されるリーデルせん断帯は観察した薄片12枚の内、LB21-007の2枚とLB21-008の1枚の計3枚でのみ形成されていた。この3枚のリーデルせん断帯の形成頻度を見ると、2~3 mmおきにまとまって発生している箇所もあれば一つのせん断帯だけ孤立して形成されている箇所もあり様々であり、ガウジの細粒化の程度も含め、せん断帯の形成状況は空間的には不均質であることが分かった。Marone and Kilgore (1993, Nature)は、せん断帯の厚さがすべり弱化距離Dcに比例するという結果を得ている。このように薄片観察の結果からDcのような摩擦パラメータが推定できることは非常に有益である。今回の実験ではY面は供試体と境界に近いガウジ層上面及び下面付近に形成されていたため、サンプリングの際にYせん断帯全体をうまく採取できなかった。そこで、今回は、リーデルせん断帯の厚さに注目して解析を行うこととする。薄片観察で得られたリーデルせん断帯の厚さは30〜70 μmであった。一方、下田·他(2020, 地震学会)は、本実験のDcの推定を行っており、10〜100 µmと推定している。リーデルせん断帯の形成と摩擦パラメータとの関係を調べるため、本研究で得られたリーデルせん断帯の厚さと摩擦パラメータの関係を、他の既往研究による摩擦実験後のガウジ層に生じたリーデルせん断帯の厚さと摩擦パラメータの関係との比較において議論したい。
実験は、防災科研の大型2軸岩石摩擦試験機を用いて行われた。用いた岩石試料は、上部がL1.5 m×W0.5 m×H0.5 m、下部がL2.0 m×W0.1 m×H0.5 mの変斑レイ岩であり、これらを積み重ねた後、上方から法線応力を加え側方から剪断応力を加えることで実験を行った。接触すべり面積は0.15 m2である。実験前に岩石試料間にガウジを厚さ3 mmとなるように散布して実験を行った。ガウジは、アイシンナノテクノロジーズ株式会社のジェットミルにより、供試体と同じ変斑レイ岩試料から,平均粒径10 μm,最大粒径200 μmとなるように粉砕して生成したガウジを用いた。各実験後に使用したガウジをすべて取り除き、実験ごとに新しいガウジを散布して実験を行った。実験は、法線応力を3.3 MPaかけたLB21-003, 004と、6.5 MPaかけたLB21-007, 008の4回行った。載荷速度は0.01 mm/s, 0.1 mm/s, 1 mm/sの間で段階的に変化させることを繰り返した。各実験の総変位量は87 mmであった。実験後、上部供試体を真上に持ち上げ、下部供試体表面上にガウジ層が露出する状態にした後、ガウジ層のサンプリングを行った。まず、整髪スプレーをガウジ層に吹きつけガウジ層を仮固定し、一定時間経過後カミソリとピンセットを用いて2 cm角程度の領域を採取した。採取したガウジ層試料はエポキシ樹脂により固化させ、すべ方向の断面の薄片を作成した。LB21-003の実験から2箇所、LB21-004, 008からそれぞれ3箇所、LB21-007から4箇所の計12カ所の薄片を作成した。作成した薄片は正立工業用顕微鏡システム((株)オリンパス、BX53MTRF-S)を用いてガウジ層の微細構造の観察を行った。
薄片の観察により、法線応力の小さいLB21-003, 004の薄片に比べて法線応力の大きいLB21-007, 008では明瞭なせん断帯(Y面、R1面)が形成されており、法線応力が大きいほどガウジの細粒化が促進されせん断帯が形成されていることが確認できた。またR1面に形成されるリーデルせん断帯は観察した薄片12枚の内、LB21-007の2枚とLB21-008の1枚の計3枚でのみ形成されていた。この3枚のリーデルせん断帯の形成頻度を見ると、2~3 mmおきにまとまって発生している箇所もあれば一つのせん断帯だけ孤立して形成されている箇所もあり様々であり、ガウジの細粒化の程度も含め、せん断帯の形成状況は空間的には不均質であることが分かった。Marone and Kilgore (1993, Nature)は、せん断帯の厚さがすべり弱化距離Dcに比例するという結果を得ている。このように薄片観察の結果からDcのような摩擦パラメータが推定できることは非常に有益である。今回の実験ではY面は供試体と境界に近いガウジ層上面及び下面付近に形成されていたため、サンプリングの際にYせん断帯全体をうまく採取できなかった。そこで、今回は、リーデルせん断帯の厚さに注目して解析を行うこととする。薄片観察で得られたリーデルせん断帯の厚さは30〜70 μmであった。一方、下田·他(2020, 地震学会)は、本実験のDcの推定を行っており、10〜100 µmと推定している。リーデルせん断帯の形成と摩擦パラメータとの関係を調べるため、本研究で得られたリーデルせん断帯の厚さと摩擦パラメータの関係を、他の既往研究による摩擦実験後のガウジ層に生じたリーデルせん断帯の厚さと摩擦パラメータの関係との比較において議論したい。