The 2021 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

AM-2

Thu. Oct 14, 2021 11:00 AM - 12:15 PM ROOM C (ROOM C)

chairperson:Shinji Toda(Tohoku University), Kota Fukuda(University of Tokyo)

11:00 AM - 11:15 AM

[S09-07] Statistical Evaluation of Occurrence Time of Forthcoming Event Estimated Based on Bayesian Updating for Inter-Event Times in Time-Series of ETAS Model

〇Hiroki TANAKA1, Ken Umeno1 (1.School of Informatics, Kyoto University)

地震の時間間隔分布のマグニチュード閾値依存性を検討する上で, 異なるマグニチュード閾値での時間間隔の間の条件付き確率pmMmM)を用いる方法が提案されている[1]. この条件付き確率は, マグニチュードの時系列に異なる二つの閾値(M,m(<M))を設定したとき, 上部閾値(M)における長さτMの時間間隔に含まれるという条件のもとで下部閾値(m)において長さτmの間隔が見出される確率密度関数である.

この条件付き確率についてのベイズの定理を考えることで, 下部閾値においてある長さτmの間隔が見出された時に, それを含む上部閾値での間隔の長さについての逆確率密度関数pMmMm)を導ける. さらに, イベント間に相関のない重み付き点過程(ETASモデルにおけるバックグラウンドサイスミシティ)について, このベイズの定理をベイズ更新に拡張し, 複数の下部閾値での間隔{τm(1),...,τm(n)}が見出された場合の逆確率密度関数pMmMm(1),...,τm(n))とその近似関数が導ける. 後者の近似関数は条件付き確率の積の形を含む主要な項と補正項からなり, 特に主要な項は数値計算する上で便利な形をしている[2].

本発表ではこれらの結果に基づいて, イベント間に相関のあるETASモデルの時系列にベイズ更新の方法を適用して, 下部閾値での間隔の情報から上部間隔の長さを推定する. その推定値と実際の発生時刻との比較を行い, ベイズ更新の方法が予測を行う上でどの程度有効であるかについて統計的に検討した結果について報告する.

まず生成したETASモデル[3]の時系列にベイズ更新を適用することで, 逆確率密度関数の近似関数における補正項は最頻値にあまり影響しないことを示す. このことから, 数値計算のしやすい近似関数の主要項について, その最頻値を上部間隔の推定値として用いる. この推定値と実際の発生時刻との間の相対誤差を用いて各更新時点における推定の良さを決め, 良い推定が実際の発生時刻よりも十分に前から続いていることを予測の有効性として評価を行った. その結果, 予測の有効性は時系列の定常性と関係があり, 時系列中で定常的な活動が支配的である大イベントの直後または十分時間が経過した場合により有効な予測ができることが示された.

[1] H. Tanaka and Y. Aizawa, J. Phys. Soc. Jpn. 86, 024004 (2017).
[2] 田中宏樹, 梅野健, 日本地震学会秋季大会, S09-25 (2020).
[3] Y. Ogata, J. Am. Stat. Assoc. 83, 9 (1988).