The 2021 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

PM-1

Thu. Oct 14, 2021 1:30 PM - 3:00 PM ROOM C (ROOM C)

chairperson:Yuki Noda(Kyoto University), Masaru Nakano(JAMSTEC)

1:30 PM - 1:45 PM

[S09-12] Seismic activity around lake of Ryujin-ko

〇Shin'ichi SAKAI1,2, Takahiro Akiyama2 (1.Interfaculty Initiative in Information Studies, The University of Tokyo, 2.Earthquake Research Institute, The Univ. of Tokyo)

長野県大町市龍神湖(大町ダム)周辺において、2021年3月下旬から、地震活動が続いている(図1)。この活動中の最大規模の地震は、4月13日22時53分に発生したM3.6の地震で、約6㎞離れた大町市役所で震度3を観測した。発震機構解は、北西―南東方向に圧縮軸を持った横ずれ型の地震で、震源の深さが約2㎞と浅かったため、大町ダム周辺の道路や林道では、小規模な土砂崩れが確認されたが、人的な被害は報告されていない。この約5か月間(3月21日~7月31日)に、大町市役所では、23個の有感地震が観測されていて、無感も含めると約300個の地震が報告されている(気象庁の暫定解による)。
これまで、この付近に大きな活断層は知られていないが、大町市では、1918年(大正7年)11月11日に「大町地震」と呼ばれる地震が発生している。この地震では、M6.5の地震が、約13時間の間隔で続けて2回発生していた。そのときの震源地は、今回の地震活動領域から東に約10㎞離れたJR大糸線信濃大町駅付近で、家屋の全壊が6棟、半壊が2852棟の被害を生じさせていた。今回の地震活動が、大正時代の大町地震とどのように関係するのかは、不明であるが、この地震活動が続く原因は何なのか、周辺で発生した2014年11月の白馬の地震や糸魚川―静岡構造線と関係するのか、今後の地震活動の拡大や周辺の活動への影響等、様々な疑問が生じている。
そこで、これらを解明することを目的として、震源地の直上および震源域を取り囲む数ヶ所に地震計を設置した(2021年4月21日から)。観測機器は、固有周期1秒の地震計(レナーツ社製MK-Ⅲ)とその記録を収録する装置(白山工業社製LS-8800)である。それらは、小さなボックス(約40cm程度)に収め、道路わき等に設置した。現地は携帯電話の通話圏外のため、テレメータできず、SDカードに現地収録した。単1乾電池32個で約3ヶ月稼動するため、8月に電池交換と記録媒体の交換を行った。地震活動は、何度か活発化したものの、全体としては、低調になってきた。
今回は、この3か月分の記録を用いた解析の一部を紹介する。 新たな臨時観測点の読み取り値を含めて震源を決め直したところ、震源の深さは2㎞前後に集中していた。切り出した記録の中には、規模の小さな地震波形がたくさん見られたため、臨時観測点の波形で自動処理を行ったところ、4月21日から5月31日の約40日間で841個の地震を検知した。同じ期間の気象庁一元化震源が67個であるため、10倍以上検知された。今後は、小さな地震も含めた震源分布から、この地震活動の全体像を解明することが目的である。

図1 震源分布(2021年3月21日~4月19日)国土地理院地図に加筆

謝辞:国土交通省大町ダムおよび千年の森自然学校に臨時の観測点を設置させていただきました。この観測研究では、東京海上各務記念財団から助成をいただきました。